「この世の喜びよ」
井戸川射子さん著 (2022年)
「この世の喜びよ」の他に
マイホーム
キャンプ
が収録されています。
井戸川さんの作品は初めてです。
芥川賞受賞作ということで、
読んでみたんですが…。
今まで読んできた小説とは全く違う感覚。
「この世の喜びよ」の冒頭を
抜粋させていただきます。
あなたは積まれた山の中から、
片手に握っているものとちょうど同じようなのを探した。
豊作でしたのでどうぞ、という文字と、
柚子に顔を描いたようなイラストが添えられた紙が貼ってある。
略
仲間内でお土産が配られていたりして、
普段は分け合っているのを横目で眺めるだけだ、
お菓子などは、あなたにはいつも回ってこない。
(本文より)
いつも小説を読む時は、
場面や登場人物をイメージしながら、
ストーリーを楽しむんやけど、
内容が入ってこない
読みづらさを感じたのは、
独特な句読点のうち方のせい
「あなた」が頻繁に使われているせい
時系列が入り乱れているせい
現在の「あなた」と
フードコートで出会った少女を軸に、
「あなた」と娘たちとの回想、
「あなた」のパパとママとの回想など、
「あなた」が感じたことを淡々と…
ストーリーがほとんどない。
もしかしたら、
ストーリーを楽しむのではなく、
詩のように味わう作品なのかも。
だとすれば、どういうふうに
最後は
「あなたに何かを伝えられる喜びよ、
あなたの胸を体いっぱいの水が圧する」
で、結ばれている。
本当に、心から喜びを感じているの
胸を水が圧する状態って、苦しいのでは
設定が喪服売り場ということも、
作品全体に暗い雰囲気を醸し出している。
もう一度、サッと読み返したけれど、
作者の意図がつかめなくて、モヤっと
私の感性が貧弱なだけかもしれませんが^^;