平野啓一郎氏著 「ある男」

 

 

平野さんの著書は初めてですが、ブロ友さんのおススメで読んでみたくなりました。

 

今やっと予約の順番が回ってきて、読み始めたら止まらなくなり、一気に読みました。

 

12月で、なにかと慌ただしいというのに(笑)汗

 

この話は、理枝という女性の二度目の夫である谷口大祐が、

仕事中に事故で亡くなることから始まる。

 

夫は実家と絶縁状態にあったが、夫の遺影を見た兄により、別人だったことが判明。

 

夫は、一体誰なのか?

 

この小説の主人公である弁護士の城戸が、この謎を解いていく。

 

城戸の思いより、抜粋させていただきます。

 

*

 

― 愛にとって、過去とは何だろうか?・・・

 

現在が、過去の結果だというのは事実だろう。

 

つまり、現在、誰かを愛し得るのは、その人をそのようにした過去のお陰だ。

 

遺伝的な要素もあるが、それでも違った境遇を生きていたなら、

その人は違った人間になっていただろう。

 

― けれども、人に語られるのは、その過去のすべてではないし、意図的かどうかはともかく、

言葉で説明された過去は、過去そのものじゃない。

 

それが、真実の過去と異なっていたなら、その愛は何か間違ったものなのだろうか?

 

意図的な嘘だったなら、すべては台無しになるのか?

 

それとも、そこから新しい愛が始まるのか・・・

 

*

 

谷口大祐と名乗った男の正体は?

 

謎を解くドキドキ感もありましたが、色々考えさせられることも。

 

民族差別や犯罪者家族に対する偏見など。

 

普通に暮らすことすら許されない人たちもいるんやと。

 

重苦しい気持ちでしたが、最後のページで、私の心に一筋の光が差しました。

 

事実を知った理枝の息子、悠人の言葉に思わず涙が・・・。

 

*

 

「お父さんが、どうして僕にあんなに優しかったのか、・・・わかった。」(悠人)

 

「・・・どうして?」(理枝)

 

「お父さん、・・・自分が父親にしてほしかったことを僕にしてたんだと思う。・・・」(悠人)