益田ミリさん著 「永遠のおでかけ」

 

 

ミリさんの本は、いつもPCから予約して移動図書館で受け取る。

 

前に借りたコミックエッセイ「今日の人生」で、ミリさんのお父様が亡くなられたことを知った。

 

その後、ミリさんの「永遠のおでかけ」というエッセイ本のことを知ったけど、予約をするのをためらっていた。

 

読むのがつらくなりそうで・・・

 

先月、移動図書館で、この本が書架にあるのを見て、これもご縁かな、と。

 

読んでいると、ミリさんのお父様と私の父が重なる。

 

私の父も短気だったし、癌で亡くなった。

 

今年の夏、父の13回忌をする予定だった。

 

なのに、母は今年の1月、突然逝ってしまった。

 

お父さんとの思い出話もじーんときたけど、お母さんとのやりとりが心に残りました。

 

私の父も母も甘党だったので、母もよくおはぎを作っていたなあ、って・・・

 

少し抜粋させていただきます。

 

 

            ***

 

 

ーおばんざいー

 

いつか来る母との別れは、母の料理が失われる日でもあった。

 

なのに、今のうちに習っておきたいという気持ちが起きないのである。

 

とくに、おはぎ。

 

母のおはぎが好きで、帰省したら、たまにつくってもらう。

 

小豆をどうやって煮ているのだろうと、ちらっと鍋の中をのぞくものの、結局、食べるの専門である。

 

私が教わらなければ途絶えてしまう味なのに、面倒くさいと先延ばしにしているのだった。

 

 

                 *

 

 

悲しみには強弱があった。

まるでピアノの調べのように、

わたしの中で大きくなったり、小さくなったり。

 

                 *

 

なにかを処分したところで、思い出は失われないのだと思った。

 

                 *

 

こんなに違う心臓音であるのに、

誰もが自分の人生を生きているという点では同じなのである。

 

                 *

 

自分の自転車に油を注し、ギコギコ漕ぎつづけるしか前へは進めないのだ。

 

 

 

 

                                    🍀「永遠のおでかけ」より