益田ミリさん著 「永遠のおでかけ」
ミリさんの本は、いつもPCから予約して移動図書館で受け取る。
前に借りたコミックエッセイ「今日の人生」で、ミリさんのお父様が亡くなられたことを知った。
その後、ミリさんの「永遠のおでかけ」というエッセイ本のことを知ったけど、予約をするのをためらっていた。
読むのがつらくなりそうで・・・
先月、移動図書館で、この本が書架にあるのを見て、これもご縁かな、と。
読んでいると、ミリさんのお父様と私の父が重なる。
私の父も短気だったし、癌で亡くなった。
今年の夏、父の13回忌をする予定だった。
なのに、母は今年の1月、突然逝ってしまった。
お父さんとの思い出話もじーんときたけど、お母さんとのやりとりが心に残りました。
私の父も母も甘党だったので、母もよくおはぎを作っていたなあ、って・・・
少し抜粋させていただきます。
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ーおばんざいー
いつか来る母との別れは、母の料理が失われる日でもあった。
なのに、今のうちに習っておきたいという気持ちが起きないのである。
とくに、おはぎ。
母のおはぎが好きで、帰省したら、たまにつくってもらう。
小豆をどうやって煮ているのだろうと、ちらっと鍋の中をのぞくものの、結局、食べるの専門である。
私が教わらなければ途絶えてしまう味なのに、面倒くさいと先延ばしにしているのだった。
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悲しみには強弱があった。
まるでピアノの調べのように、
わたしの中で大きくなったり、小さくなったり。
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なにかを処分したところで、思い出は失われないのだと思った。
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こんなに違う心臓音であるのに、
誰もが自分の人生を生きているという点では同じなのである。
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自分の自転車に油を注し、ギコギコ漕ぎつづけるしか前へは進めないのだ。
🍀「永遠のおでかけ」より


