この本は、河合先生が新聞や雑誌に書かれていたものをまとめて、

2002年に出版されました。

 

驚いたのは、竹宮恵子さんの『風と木の詩』について述べられていたこと。

 

1996年、朝日新聞夕刊に書かれたものです。

 

『風と木の詩』、とても懐かしいです(*^-^*)

 

人からの紹介とはいえ、河合先生が『風と木の詩』を読まれたこと、

しかも竹宮先生と対談されていたことに驚きました。

 

河合先生が『風と木の詩』について書かれている部分を、少し抜粋せていただきます。

 

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思春期の少女の内的世界をここまで表現しきった作品は、

ほかのジャンルのものも含めて、おそらくなかったのではないか、と思った。

 

少女の世界はきわめて理解し難く、表現するのもほとんど不可能に近い。

 

我々カウンセラーは、ただ黙って前に座っている少女に対して、

異界から突然に出現してきた生物に向かって、

どうしていいのかわからずにいるような心境になるときがある。

 

まったく手の届かない世界である。

 

ところが、本書にはそれが見事に描かれている。

 

遠い国の学校の寮に住む少年たちの群像。

 

これは少女の内界を表現するのにピッタリ。

 

と言うより、すべての少女の内界には、このような少年たちが住み、

同性愛、近親相姦、暴力、裏切り、などの行為を繰り返しているのだ。

 

そんな馬鹿なことはない、と言う人がいるかもしれない。

 

それは人間の「内界」のことを知らないからだ。

 

感傷的とか清純とか「乙女」の心情を表現するオキマリの用語があるが、

それは「内界」のごく上澄みで、もう一歩奥に踏み込んでいくと、このような世界がある。

 

 

ジルベールとセルジュはお互いに照らし合うことによって、

相手をも自分をも、その存在の意味が明らかになるような関係である。

 

一人では存在できないのである。

 

 

竹宮さんにお会いした時、作品から想像していたとおりの人で嬉しく思った。

 

少女たちがベタベタとくっつき合って行動しているとき、

竹宮さんは一人でも平気でマンガを描いて満足していたと言う。

 

「孤高」という表現が当てはまるくらいの強さをもっていないと、

自分の深い内界をそのまま見据えて表現できない。

  

                         🍀「より道 わき道 散歩道」より

 

 

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昔、独身貴族時代(笑)に買った、竹宮恵子さんの原画集を開いてみました。

 

LPレコードのジャケットに使用された原画

 

 

中世風のセルジュとジルベール

 

 

 

 

「竹宮恵子 自選複製原画集」

 

この原画集を見るのは何十年ぶりだろう・・・

 

ドキドキしながら『風と木の詩』を読んでいたあの頃が懐かしい・・・

 

あの頃の私にもどりたくはないけれど.(体だけはもどりたい!):

 

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