高樹のぶ子さん著「少女霊異記」を読みました。


表紙が少女マンガのようです。


残念ながら、中は漫画ではありません(笑)


少女が、『日本霊異記』をもとに、謎をといて、事件

を解決していくという小説です。


古代と現代をつなぐ「霊異」ミステリーです。








『日本霊異記』とは


平安時代初期に成立した、日本最古の説話集。


著者は薬師寺の僧、景戒。


仏教に関する異聞、奇伝が百十六篇おさめられている。



主人公の高畑明日香は薬師寺に勤務。


地名フリークで、地名に関する本を読みあさっている。


ペットはカラス。

愛読書の『日本霊異記』を読んでいるときに近寄って

きたので、ケイカイと名付ける。




以下、「少女霊異記」より



高畑明日香が『日本霊異記』を好きなのには大きい声では

言えないワケがある。


天皇陛下がまぐわいをなさったり、

それを見ていた天皇の従者が雷を摑まえてきたり、

海の中に放り込まれた人間が、生きてこの世に戻ってきたり、

髑髏の舌だけが生き残ってお題目を唱えていたり、

まるでオカルトみたいな奇妙な話が百以上も入っていて、

竹崎真美の漫画を見ている気分だ。


一つ一つが短いだけでなく、それぞれに事件が起きた地名や

場所が最初に記されているのが面白い。


この地名が、明日香の想像力をぐいぐい刺激してくるのだ。


昔の日本には、なんと面白い地名が溢れていたことだろう。


                      (「奇しき岡本」より)





言霊信仰というのは、今も日常的に誰もが実感している、

というかこだわっている感覚で、

つまり、「雨」という言葉を口にすると、

雨が降って来そうな気になる。


言葉自体が霊能力を持っていて、

言葉が現実を呼び起こすというか、実現させてしまう。


                       (「飛鳥寺の鬼」より)




この身体が千二百年昔と、行き来できるわけではないけれど、

千二百年昔に起きたことが、今、現在も繰り返し起きているのだ

と判る実例には、たびたび出会った。


科学が進んで、脳の中まで分析ができると言っても、

心の動きや人間の心理は大して変わってはいないのだと、

その都度思った。


古い地名が、こっそり秘密を伝えているように、

牛馬が車になり、

母乳が粉ミルクで補われても、

人間関係の本質や、元々在る欲望は変わらず存在している。


                       (「西大寺の言霊」より)