作:田中芳樹
イラスト:丹野忍
講談社(講談社文庫)
1998.8
超個人的評価:★★★-☆☆


中堅SF作家の相馬は、先輩作家の代理で、北海道に新しく建設された巨大リゾート・ウラルを訪れた。
著名人ばかり集まるお披露目会で、講演をするためである。
一抹の不安と、贅を尽くした人工都市への期待を感じつつ、相馬は娘の葉月とともにこの巨大人工都市を訪れる。
しかしそこで彼らを待ち受けていたのは、優雅なリゾートライフなどではなく、「狼」たちによる血の惨劇だった……?!


ホラーサスペンスっていうかVS化物っていう点ではいつもの田中さん。
ただ今回はそれに対抗しうる超人が出てこないので化物VS逃げまどう群衆という感じ。


作家と社長の友情?には思わずにやにやしてしまったのは秘密。

ラストのオチや理由付けがイマイチ中途半端なため、結局なんだったの?感はぬぐえない。
こんだけ大量に人が死んで、なんか悪霊的なヤツのせいでした(超意訳)と言われても……k(反転)

このすっきりしないもやっとした読後感がホラーだというなら仕方ないのかもしれない。
未だに自分の中でホラーの定義がすっきりしない今日この頃です。


著名人有名人に対する強烈な皮肉は通常営業の田中さん。

しかし今回丹野さんリアル系のイラストと内容のギャップが激しかった気がします。

夢幻都市 (講談社文庫)/田中 芳樹
¥540
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作:須賀しのぶ
イラスト:駒田絹
集英社(コバルト文庫)
2008.3
超個人的評価:★★★☆☆


戦争が終った今でも中学校では軍事教練が義務づけられている日本。
内気な中学生の陽菜は毎日が息苦しくて仕方なかった。
目立ってはいけないという不安と、周囲からの圧力や人を恐ろしい化物、アンゲルセに変える謎の病気、天使病。
そんな彼女の唯一の安らぎは森に現われる「マリア」に会いに行くことだった。
しかしある日、陽菜が人前で歌ったことをきっかけに陽菜の日常は崩壊して……


須賀さんでは珍しい内気で女の子らしい主人公に、最初は少しとまどった。
言いたいことが言えない性格だったり、それでも自分は特別なんだと思っている微妙な自意識の高さにいらいらした部分もあったけれど、色々ありすぎた彼女のこれからの変化に期待。

女の子同士の若干どろっとした感じは須賀さんのハードカバー作品に近いかな。


舞台はパラレルワールドのような軍国現代日本。
主人公に男の子二人という構図なのに、一巻ですでに当面は普通の甘い展開が期待できなくなってしまった。あれれ?

不器用すぎる幼馴染みくんの今後の活躍に期待しつつ次の巻を探してこようと思います。

アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭 (アンゲルゼシリーズ) (コバルト文庫)/須賀 しのぶ
¥580
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作:恩田陸
角川書店(角川文庫)
2008.8
超個人的評価:★★★-☆☆


数十年前にある名家で起こった大量毒殺事件。
かつての悪夢を取材するうちに少しずつ見えてきた真実。
真犯人は目の前にいる。
けれど、なぜ?
悲惨な事件の裏にあったものとは……


インタビュー形式で進む話と、少しずつ核心に近づいていく展開にひきこまれてぐいぐい読めたけれど、盛り上がって盛り上がった割に最後は妙にあっけないというか、なんだかもやっとした終わり方でした。
ええ?結局なんだったの??
とりあえず1回読んだだけでは理解できませんでした。


中盤~後半の登場人物たちの心情とかはもっとクローズアップしてもよかったかも?

ユージニア (角川文庫)/恩田 陸
¥660
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作:成田良悟
イラスト:ヤスダスズヒト
メディアワークス(電撃文庫)
2008.3
超個人的評価:★★★+☆☆


東京、池袋。
個性的な人物ばかりが集うこの街は、密かに休日を楽しもうとしていた。
首なしライダーことデュラハンのセルティはなくした給金を探して奔走し、それを追いかけるテレビ局。さらには彼女に賞金をかける人間まで現われた。
服装と中身が釣り合わない臨也の奇妙な双子の登場や、池袋最強の弟の人気俳優、謎の殺人鬼『ハリウッド』
おかしな人間や妙なできごとで、今日も池袋の街はにぎわうが……


嫌というくらい街の休日っていうキーワードが繰り返されるが、街の休日というかイザヤの休日な一冊。
かわいそうなくらい蚊帳の外。
スタッフロールページの一人鍋をしている彼には思わず笑ってしまった。


今回ちょっと時系列がねじれたスパゲッティしているので、慣れるまで大変でした。
そんな4巻、ただの中二病というにはだいぶ方向性を間違えたイザヤの妹たちが現われたり、シズちゃんの弟が殺人鬼とロマンスを繰り広げたり、セルティと新羅がいちゃいちゃしたりしております。最後のは結構いつものことかも。


色んな波乱の芽を残しつつ待て次回という感じでしょうか。


デュラララ!!×4 (電撃文庫)/成田 良悟

¥641
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作:京極夏彦
講談社(講談社文庫)
2000.9
超個人的評価:★★★★-☆


夫を四度殺した女。極度の強迫観念に縛られた元精神科医。神を信じられない牧師。
それぞれ常識離れした闇を抱える三人の近くで、海中を漂う金色の髑髏が目撃された。
同じ頃山中で集団自決する事件が起こる。
伊佐間、関口、木場、それぞれがばらばらに見聞きした事件が繋がるとき京極堂が動き出す……


庫版購入のため再読。
相変わらず腕が鍛えられる重みと厚さ。
夫を四度殺した女と謎の金色髑髏をめぐるシリーズ第三巻です。

新キャラ、釣り堀屋の親父でひょうたん鯰こと伊佐間登場。
彼はこれからレギュラー化するのだろうか。


嫌と言うほど繰り返される髑髏というキーワード。
それが少しずつ繋がっていくさまは相変わらずぞくぞくします。

ただ今回京極堂が動き出すまで時間がかかるので、読んでいる私のエンジンがかかるのにちょっとだけ時間がかかりました。

乗っちゃえば一気に読めるんだけどな。


ラストのオチは何となくダヴィンチコードを思い出した。
こういう儀式は割と万国共通なのかなとつぶやくには圧倒的に私の知識が
足りませぬ。


そして榎さんの変人っぷりが輝いていた。楽しかったです。

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)/京極 夏彦
¥1,070
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作:夜光花
イラスト:朝南かつみ
幻冬舎(リンクスロマンス)
2009.9
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。


人の記憶を見ることのできる力を持つ清涼は、その能力を生かして思い出したくない記憶を消す『クリニック』を営んでいる。
ある日、清涼のクリニックに、鋭い目をした男、秦野が乗り込んできた。
刑事だと名乗った秦野は、清涼が重要な事件を目撃した女性の記憶を消してしまったというのだが……
威圧的な態度への仕返しに、彼の過去の疵を暴き立てた清涼は激高した秦野に押し倒されてしまい……


刑事×人の記憶を消すクリニックを営む男。
うっかり過去の疵をえぐってしまったせいで強姦された清涼。
無茶度高めな設定だけれど、それはだんだん気にならなくなっていくBLマジック。
その後秦野がだんだんワンコ化していくのが楽しかった。

エロ多めのはずなのに、最終的に頭に残るのは事件という不思議な作品。

黒薔薇さんのインパクトが強すぎて、それがすごく面白かったんだけど、BLとしてそこはどうなのか微妙に悩むところ。


黒薔薇さんと塚本の出会い話とか読みたいなあ。

でもそれはきっともうBLじゃない。

もしかして黒薔薇さんが男とかそういうオチがないかぎり……って言ってたらだんだんそんな気がしてくる不思議(笑)

忘れないでいてくれ (リンクスロマンス)/夜光 花
¥898
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作:須賀しのぶ
イラスト:船戸あかり
集英社(コバルト文庫)
2005.11

超個人的評価:★★★★☆


カリエから産まれた1000番目のクナムは女児だった……
ザカールの宿命から外れた子供。これは新たな女神の思惑なのか?
戸惑いながらも、彼女は我が子を守るため、森での逃亡生活を始める。
エディアルドとサルベーンに守られながらも、つかの間の平穏を見いだすカリエだったが、そこで彼女が出会ったのは思いもよらぬ人物たちで……


セーディラが産まれた後~ネフィシカの子供の存在が公表されるまで。
一瞬表紙の美人は誰だろうと思ったらイーダルか?!

ユリ・スカナだけじゃなくてルトヴィアも色々大変そうです。
ドーンとグラーシカのコンビが好きだから辛い。
でも無意識にコンビと呼んでしまっている自分に驚いた。
彼らの夫婦や恋人って言い切れない絆がすごく切ない。
戦友というかさ。


一方で森の中で暮らしているカリエたち三人がなんだかほほえましくて、きっと一瞬だろうこの平穏が愛しい。
なんかどこでも逞しく生きて行けそうな主人公っていいな。


ああ、もうみんなどうなっちゃうの。

流血女神伝 喪の女王 2 (コバルト文庫)/須賀 しのぶ
¥500
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作: 京極夏彦
角川書店(角川文化)
2005.2
超個人的評価:★★★+☆☆


不思議話を愛し、各地の怪談を集めている山岡百介の元に、同心をしている兄からある依頼が持ち込まれる。
妖怪に殺されたとしか思えない不可思議な男の屍。
それを見極めて欲しいと言うのだ。
男の死を妖怪の名前を挙げて説明した百介だが、彼は事件の裏にあの男たちの気配を感じて……


『野鉄砲』『狐者異』『飛縁魔』『船幽霊』『死神 或は七人みさき』『老人火』の6編。


遠くの小さな事件をたどって、だんだん核心へと迫っていく、そんな構造の今回。
シリーズもので同じ事件を追いかけている割にはびっくりするくらい作中の時間が流れているのが印象的でした。
話と話の間に年単位の時間が。
最終話なんかいきなり6年後って言われてすごくびっくりした。


又一たちの仕掛けもスケールをまして相変わらずさえ渡っています。

このラストがあって、また続きに度肝を抜かれに行こうと思います。

続巷説百物語 (角川文庫)/京極 夏彦
¥900
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作: 夜光花
イラスト:高橋悠
竹書房(ラヴァーズ文庫)
2007.6
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。


この子は二十歳までしか生きられない……
産まれたとたん、そんな不吉な予言をうけた光陽は、ほとんど家の中に閉じ込められるようにして育った。
心を許せるのは祖父母と、たった一人のの友人亨だけ。
しかしそんな光陽を支えたのは二十歳になったら自由にしていいという祖父との約束だった。
ある日、まもなく二十歳を迎える光陽の前に、美術愛好家の梁井と名乗る男が現われて……


ずっと気になっていたシリーズの一巻をやっとゲット。
夜光さんの話もキャラも好きなのに、なぜかのめりこめない作家さんなんだよなあ。
過去形が続く文章のせいなのかな。ううむ。


でもやっぱり話はめちゃくちゃ面白かったです。
獣人と、彼らの餌としての定めをもつ青年。
純粋培養の主人公、光陽のいい子ちゃんっぷりがちょっとイラっとすることもあるけれど、そんな彼がこれからどう変わっていくかも期待。


光陽をずっと見守ってきた友人、亨が不憫すぎる。
あのラストで、彼の今後がすげえ気になる。
亨が幸せになれるといいな。


獣人のイラストがないのが、ちょっとさみしいような気もする一方で、妙にきらきらした獣像を出されるよりはないほうがいいのかなあなんて思うフクザツな乙女心です。

凍る月 漆黒の情人 (ラヴァーズ文庫)/夜光 花
¥600
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作: 須賀しのぶ
イラスト:船戸あかり
集英社(コバルト文庫)
2005.6
超個人的評価:★★★★☆


ザカールの崩壊からなんとか逃げ出したカリエとエディアルドは、イーダルの部下たちの手を借りながらユリ・スカナを目指していた。
怪我を押しての移動になったエドを気遣うカリエだったが、彼女の胎内には千人目のクナムとなる運命を持った、リウジールの子供が宿っている。
我が子を大切に想う気持ちと、この子さえいなければという相反する想いを抱えるカリエの決断は……


ついにここまでやってきました。
流血女神伝最終章開幕です。
ザカール脱出~カリエの出産まで。
落ち着いてきたかなあと思いきや、未だ女神の鎖はしぶとそうです。
ここまで黙ってカリエに着いてきてくれるエドの行動の理由とか、相変わらずぐるぐるしてそうなサルベーンとか、イーダル王子関係もいろいろありそうだし
、最終章といってもまだまだお話は始まったばかり。
果たしてカリエの幸せはどっちだ!?

流血女神伝 喪の女王 (1) (コバルト文庫)/須賀 しのぶ
¥520
Amazon.co.jp