作:井伏鱒二

講談社(講談社文芸文庫)

1997.11

超個人的評価:★★-☆☆☆


たまには世間一般で名作って呼ばれてるものを読もうかなと思って手に取った一冊です。

山椒魚が読みたくて借りてきました。

昔中学だか高校だかの国語の時間にやったのが懐かしくて。


この本は15本以上の短編からなる短編集です。

その全体の評価としての★★-☆☆☆です。山椒魚だけだったら★★★★☆ってかんじかな。

純文学は考えないとわからない作品が多いから読むのが苦痛だったりします。

時代背景とか、作者のこととかがある程度わからないと読めない作品が多いような。


そういうのを超越して、軽くてエンターテイメント的にもテーマや含意的にもおもしろい作品が書ける人になりたいなあ。


話を戻しましょう。


穴の中で居眠りをしているうちに大きくなりすぎて穴から出られなくなってしまった山椒魚。

閉じこめられた山椒魚はだんだんやさぐれて、穴に迷い込んできたエビを脅かしてみたり、集団で泳ぐメダカをバカにして過ごしたりします。

そんなある日巣穴に迷いこんできたカエルが一匹。山椒魚は自ら巣穴の栓となってカエルを閉じこめてしまいます。

巣穴に閉じこめられた二匹は毎日ケンカばかり。そのうち口も聞かなくなり、そして季節が巡り……それでも彼らはお互いのため息が聞こえないように口をつぐんでいるのです。


もともとは山椒魚が蛙と和解するエンディングがあったのを、途中で作者自身がカットしてしまっています。

私はこのカット前バージョンが大好きなんですが。


先にため息をついてしまったのはカエルで、山椒魚はそんなカエルに親しみを感じて巣穴の奧から降りてくるように言います。しかし長い間何も食べずにじっとしていたカエルはうごくことができない。

このときの山椒魚とカエルの会話が大好きなんです

「それでは、もう駄目なようか?」とか

「今もべつにお前のことをおこってはいないんだ」とか


考えようによってはものすごい萌え小説ですよね(こら!!)


他の短編でも

「ジョセフと女学生」では外国人とつきあいだした?親戚の女の子にややシスコン気味の主人公が、あいてに一言いってやろうと思ったら、その相手のジョセフがなかなかしっかりした青年で、主人公はうっかり彼に「この子はあばずれだから」とか言っちゃったりしてるし。

「埋憂記」の主人公と在竹の関係はぶっちゃけトキメキだし(わたしの邪推なのか……)


あ、あと「屋根の上のサワン」が好きです。

物思いにふけっている主人公が、自分を慰めるためだけに傷ついた雁をひろってきて、治療してやるんです。

雁にサワンと名付けた主人公は雁の風切り羽を切って飛べなくして、飼ってやることにする。

だけど、雁は自分の群れに戻りたがって、主人公の言いつけを破って屋根の上から毎晩仲間を呼んで鳴く。

それをずっと黙殺してきた主人公だけど、ある日サワンを逃がしてやることを決意するが……


ぶっちゃけバッドエンドなんですが。切ないんです。



よくわからない話も多くてつかれたけれど、いろいろと考えました。

たまにはこういうのも良いかな。

連続はちょっとごめんだけど。

夜ふけと梅の花・山椒魚
¥1,050
株式会社 ビーケーワン