86/BRZ FA20(DI)エンジン分解 その3 | arise motor sports official blog

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いよいよシリンダーヘッドの分解に取り掛かります。

 

エンジンブローしたエンジンですが、ブローした原因は・・・

カムカバーに穴が開いています・・・

こっちは正常です。

 

カバーを外した所です。

ローラーロッカーアーム方式という機構が採用されています。

こちらも低フリクション、低騒音を狙っての事でしょう。

ロッカーアーム、ピボットの数が足りません・・・

オーバーレブにより、ロッカーアームが外れ、カムシャフトとカバーの間に挟まり、カバーを突き破ってしましました。

ロッカーアーム脱落は、アプライドA型B型は多いトラブルのようですが、オーバーレブには注意しましょう・・・

 

カムシャフトです。下の大きな丸い部品が可変バルブ機構のプーリーになります。

この中の油路を切り替え、バルブタイミングを変更しています。

バルブタイミングを変更して何をしているのか?と言いますと・・・

 

・低負荷時はオーバーラップを無くし、排気ガスの吹き返す事を防いでいます。燃焼室内に綺麗な混合気をしっかりと吸い込み、

燃焼を安定させ、燃費向上を図っています。

 

・中負荷時はIN、EXバルブの開閉タイミングを変え、排気ガスの一部をシリンダー内に戻し、排気ガスの清浄化を行っています。

燃焼温度を下げ、NOXを減らし、HCを再燃焼し、HCを下げる(内部EGR)

と、同時に排気ガスが燃焼室に残っている為、酸素濃度が少なくなっているので、スロットルを大きく開き、ポンピングロスを減らし、燃費向上を行っています。

最近のエコカーもEGRを使用しているのは、少しでもポンピングロスを減らし、燃費を稼ぐ目的があると思います。

 

・高負荷時は、エンジン回転数に応じて閉じるタイミングを遅らせていきます。

混合気の流れる慣性に合わせ、混合気を効率よく燃焼室に送り、パワー向上を行っています。

 

可変バルブタイミングを採用しているのは、パワーと燃費&低排出ガスの両立を行う事が出来ています。

 

・・・と、いう事です

 

シリンダーヘッドです。

 

エキゾーストバルブがナトリウム封入中空バルブになっています。

採用されているのはRB26、VR38等のハイパワー志向の車に採用されています。

最近だと、N-WGNにも採用されています。

 

常温ではナトリウムは固形になっています。中空の中身は全てがナトリウムで満たされて無く、

空洞がすこしあります。バルブの傘が高温に晒され、中のナトリウムが溶けだし、中でナトリウムが動き出します。

動いたナトリウムがバルブガイドの方へと熱を移動させ、バルブの放熱性を上げ、ノッキング対策を行っています。

 

バルブの傘を切って、中身を見たいのですが、後処理が大変なので、写真はありません(汗)

気になる方は画像検索してみて下さい。