所有者不明の土地が増えているという。その総面積は、2016年時点で九州全土の面積を上回る410万ヘクタール。「治安の悪化につながる」「土地の有効活用の妨げになる」などの問題が生じるため、マスコミでも取り上げられるようになった。

 

その大きな理由は、相続による所有者変更登記が相続人の任意であり、何のペナルティもなかったためだ。価値がなく売却も難しい土地の場合、わざわざ費用や手間をかけてまで申請をしない人が多かったのである。

 

令和5年には不要な土地を手放して、国に引き渡すことの出来る「相続土地国庫帰属法」が設けられた。ただ、国の承認を受ける必要があることや10年分の土地管理費の負担金が必要となるため、今年2月時点で150件の帰属にとどまっている。

 

令和6年4月からは相続人は3年以内に変更登記の義務を負うことになる。この制度は過去に放置された土地についても遡って義務が生じ、違反した場合は過料の対象となる。

 

こうした法整備は大変重要だが、前述した「国庫帰属法」の要件を緩和して、利用しやすい制度にすることも必要なのではないだろうか。所有者不明の土地をなくしていくことは、人口減少時代を迎えた日本にとって喫緊の課題だと感じる。