今から32年前、所得税・住民税の
最高税率は93%だったことをご存じだろうか?


あまりの重税から松下幸之助は、
「誠実に働くのが馬鹿らしいという風潮が生まれる。」
と嘆いたそうだ。


確かに高額所得者には大変厳しい時代だったが、
日本人の総中流化意識に一定の貢献もした。
その後、日本の最高税率は徐々に引き下げられることになる。


私が会計事務所に転職した平成3年の最高税率は65%


それが平成11年の改正で50%に下がると聞いたとき、
正直驚いた。


「え、一気に15%も下がるの?4000万円の所得の人は、
600万円も税金が減るよね?スゴイ減税だなあ。」


もっともこの改正の恩恵を受ける人はごく少数だったせいか、当時マスコミ等でそれほど騒がれた記憶はない。


あれから15年が過ぎた。


最高税率の引き下げは、
格差社会と言われる日本の現状に少なからぬ貢献?
をしたと思う。


世論を意識したのか、昨年、最高税率は55%
引き上げられた。


今後は、成長力を高めるという名目で法人税率は引下げられ、
社会福祉の財源という名目で消費税率は
引上げられていくようだ。


国策はゆっくりとではあるが、
着実に社会の姿を変えていく。


10年後の日本の姿が、税制から
透けて見えるような気がする。