<第3子長男1か所目③/3か所中>

 

魚屋さんは60代のおじさんとおばさん、ご夫婦二人で営んでいた。

気さくで優しいご夫婦だ。

 

毎日、夕方、保育園に預けていた長男を迎えに行った原チャリを置かせてもらいに行く。

すると、そこに停めてあるおじさんの軽トラのワイパーのところに一枚のメモがある。

 

私が原チャリを停めると目が行く位置にメモはある。

 

「パン焼けてます。」





 

私が到着するころを見計らって、おじさんとおばさんは、食パンを焼いて待っていてくれるのだ。

 

時にはおまんじゅう、時にはカステラもあったかな。

 

第3子のために、私のために、

 

「パン焼けてます。」

 

だから寄っていきなさい、ではなく、

 

「パン焼けてます。」

 

だけのメッセージ。

 

23年前ものこと。

 

書きながら泣いている。

 

私は毎日しんどかった。

 

でもこうやって人に助けられてきた。

 

職場の仲間に、魚屋さんに私は助けられて生きてきた。

 

温かい人々のおかげで、毎日乗り切る力をもらえていたんだ。