大学が一緒だった。
新入生歓迎キャンプで知り合った。
いやその時、夫は私に気づいていなかったかもしれない。
夫は有名人だった。
応援団員だったから。
新入生の前で応援団員は芸をする。
その芸は照れも羞恥心もなく、その演技力に目を見張った。
私は演技力のなさにずっとコンプレックスがあったから。
その10数年後、また夫の演技力を見る機会があった。
子どもの保育園のお遊戯会。
お父さんの劇。
ひときわ目立つ演技力。
それが夫。
「恥ずかしがっちゃだめなんだよ。」と。
私には無理だ。
この人すご。
それだけだった。
私は大学で体育会マネージャーとなる。
同じ体育会として、夫は私に一目おいてくれていたことはわかる。
ただそれだけ。
学内で会った時、夫は時々私をいじる。
私は以前からいじられキャラだ。
私は学生の身分で車通勤していたが、駐車中の車の前に物をおいて出られないようにするとか、フロントガラスのワイパー上げっぱなしにする、とか、小学生レベルのいじりを夫はしていた。
ただそれだけ。
お互い、別に好きな人いたしね。
大学時代は友達。
ただそれだけ。
大学卒業して数年。
友達同士を付き合わせるための飲み会開くから来て、と久々に夫から連絡が来た。
そこで私たちもついでみたいに付き合うことになった。
よくある事だね。
いや、ここは夫の策略っぽい。そこ聞いたことは無い。
ただそれだけ。