巨大な鳥は真っ直ぐ船の方へやってくると、船上空を縦横無尽に飛び回った。
甲板がざわめいていると、軍の兵士が気づいたらしく甲板に大量の兵士が流れ出てきた。
『撃ち落とせー‼』
その言葉を合図に兵士達が弓やら鉄砲を放つ。
だが矢や弾は全くの的を射てはいなかった。
避ける動作を見せずに悠々と、飛び回る姿はこちらをおちょくっているようにも思える。
兵士達が撃ち落とすことが不可能だと思い始めた時だった。
的が急降下したかと思えば、兵士の中に突っ込むようにして船に着陸したのだ。
人が壁となり、こちらからは様子が伺えないがどうやら戦闘が起こっているようだ。
爆風が起こると兵士の壁が吹き飛び、海に投げ出された者、壁に叩きつけられたもの様々だがその光景は惨いものだった。
吹き飛ばされた兵士が囲んだ中に先ほどの巨大な鳥の姿はなく、代わりにそこにいたのは一人の女だった。
剣を構えたその女はよく見ると顔にあどけなさの残る少女だった。
その少女はキョロキョロと辺りを窺って、誰かを探している様子だ。
そこへ増援に駆けつけた兵士たちが少女に向かっていく。
威勢よく駆けていく兵士だったが少女の圧倒的な力の前にばたばたと倒れていく。
騒然とする甲板にフラフラと歩く金髪碧眼の男、ワン・テオがやってきた。
『ワン、遅い......。』
『中々腕っ節の兵士が守っていたもので時間とられましたよ。そういうクィナさんは時間通りですか?』
へこへことワンが会話から察するにクィナと呼ばれる少女に向かっていく。
『早く、帰ろう......。』
そうクィナが言うと、先ほどの巨大な鳥が出現した。
『ですがね、クィナさん。アレは既に盗まれた後でした。』
その言葉にクィナの顔が凍りつくのがわかった。
『クィナさん...?』
クィナは近くにいた冒険者の首を刎ねた。
その動作は一瞬のことで、とても目で追いきれなかった。
さらに次々と近くの冒険者を手当たり次第に殺していく。
『冒険者達よ‼ 兵士に続け‼』
甲板に更なる増援の兵がやってくる。
それに冒険者が次々と向かっていくが、彼女にはかすり傷すらつけられない。
クィナの剣から全身にかけては真紅の液体でだいぶ汚れていた。
『ワン。疲れた......。』
そう言うとあろうことか、兵士や冒険者が襲いかかろうとしている中、ちょこんと座り出した。
『その首もらったー‼』
クィナに冒険者の男が斧を振り下ろした。
『雷葉ー‼‼』
ワンが叫んだ途端、ワンの身体から鋭利な棘が沢山生えている極太の蔦が兵士や冒険者を襲う。
斧の男も身体を切断され、絶命していた。
甲板の中心は血まみれになっていた。
この数時間で何人が命を落としただろうか、考えたくもなかった。
そして、ロイ達は気づいた。
ワンがこちらを凝視していることに。
iPhoneからの投稿