俺は、一輝をやりこめたことで、すっかりイイ気分になっていた。
一輝はとぼとぼと、尿瓶を片づけに行ってしまった。
まあ、6年も離れていたのだからな。
今の瞬の保護者は、悪いが俺だ。
一輝をチラリと見やると、水場で尿瓶を洗っている。
そのうしろ姿に、あまりにも哀愁が漂っていたので、つい同情してしまった。
「一輝君、ありがとう。おかげで助かったよ。洗い終わったら、こっちへ来なさい。アンドロメダ島での瞬のことを、話してやろう。」
しかし一輝はダンマリを決め込んでいる。
からかいすぎて、嫌われたか。
「アンドロメダ島でも、瞬は君のことを、いつも気にかけていたよ。」
振り向いた一輝の顔は無表情のままだが、明らかに目が喜んでいる。
単純な奴だ。
「いつだったか、デスクィーン島に瞬の身代りで行った君を想って、泣いていたな。食欲もなくなって、元気がなかった。」
「瞬…」
「でも、俺が慰めたら、その日のうちに元気になったぞ。あっさりと。」
「…」
「毎日が楽しそうだったぞ。カラオケをしたり、海水浴をしたり…」
「…修行はしなかったのか?瞬はついてこれたのか…?」
「ああ、修行か。もちろんやったぞ。ええ~と、何をやったっけな…」
忘れたわけではないが、楽しい思い出のほうが多いからな。
一輝が、ため息交じりに呟く。
「…瞬の奴、よく、聖闘士になれたな…(こんな師のもとで)」
どういう意味だ。
「まあ、結果的に聖闘士になれたんだから、いいじゃないか。」
「フッ…いいかげんだな。まあ、あなたのような人が師だから、瞬も伸び伸びと大きくなったのだろう。」
褒めてくれてるのか?
なかば諦め気味の口調だが。
しかし、兄というよりお父さんみたいだな。
若いのに、おっさんみたいだ。
お友達になれそうだ。