しばらくして、看護婦さんが病室から出てきた。
「今回は特別ですよ!もう、あんなにカワイイ子にお願いされたら…ウフ!でもまだ、話すのも辛いみたいだから、少しにしてくださいよ!」
なんだ、いやにあっさり許してくれたな。
可愛いといろいろと得なんだな。
勉強になった。
俺とジュネが病室に入ると、瞬がこちらに振り向き、にっこりと微笑んだ。
瞬、瞬よ…
よくぞ、生きていてくれたな…
「瞬!よかった!大丈夫かい!?」
ジュネが瞬のもとへ駆け寄る。
「ジュネさん、先生、よくご無事で…本当に、本当に良かった…」
瞬が瞳に涙を浮かべ、言葉を詰まらせた。
感動のご対面だが、俺の恰好が全身タイツなのが残念だ。
「僕、まだ思うように体が動かなくて…寝たままで、ごめんなさい。」
「ん~ん!いいのよ、瞬!可愛い瞬!」
「あは、ジュネさん、くすぐったいよ。」
ジュネが泣きながら瞬のほっぺたにチュウの嵐を浴びせる。
俺も、チュウしようかな…
「先生…ごめんなさい…」
えっ。
「僕、先生が殺されたって聞いて…びっくりしてしまって…」
は?
「アフロディーテを殺めたこと、今では後悔しています。」
あ~、チュウじゃなくて、仇討のことか。
「僕は、どんなに悪い人でも傷つけたくない、でも、どうすればよかったのか…」
「瞬…」
「これからも、戦いは続くみたいです…先生…僕、どうすれば…」
「ん~…そんな難しい問題を考えたら、また眠れなくなっちゃう。」
「バッカじゃない!?三球照代じゃないんだから。ふざけないでよ!」
「そんなこと言ったって…しかし、一方向から見て悪と決めるのもどうかと思うがな。善と悪がくっきり分けられるのはマンガの世界だけだぞ。」
「そんなこと言ったら、瞬が困るじゃない!助けてあげてよ。可哀想に、悩んで…先生みたいにハゲちゃうよ!」
「フッ。ハゲるならハゲるがいい。男は悩んで大きくなるのだ。いつでも頭を使って考えろ。瞬、大局から物事を見ることを忘れるなよ。」
「先生…」
「いつだって俺はお前の側にいる。」
ニコッと一瞬笑うと、瞬はそのまま眠りに落ちた。