表題の件について個人的な覚え書き。
個人的な物の見方なんで誰にも責任取らんでー。単なる自分の覚え書きやでー。
つーわけで以下ざっくりラフに行きます。
・お役所というものはどこであれ、決まった手続きを然るべく実行するものなので、そこに陰謀を見出そうとしても割と無意味だったりする。という個人的認識。
「何で?」って訊いたとする、お役所の行動原理は大概「そう決まってたから」でしかなかったりする。
これ、「いつ決まった?」「何で決まった?」と深掘りしてもあまり益がない、という個人的認識。そこ深掘りしても「だっていついつこう決まったでしょ」「決まったからそうするよ」のループだったりする。
まー消費税取られてる感がちょい薄まるといいなーくらいの思惑はあるかもしれんけど、それ以上の陰謀って探しても益ないんちゃうかなー。これ、個人的に色んなお役所とやり取りしたことある経験値で物言うてるんで、ほんま「益ないんちゃうかなー」としか言いようがないんやけど。
で、世の中、陰謀論というものは胡散臭い目を向けられるのが相場なんで、見えない敵(陰謀)を見ようとして~顕微鏡を覗き込んで~現実と乖離するのが一番まずい。
お役所との交渉は「見えてるもの」だけで勝負する、これ肝だと思ってます。これ個人的意見ね~。
でまあ、表題の件については出版業界にとっては寝耳に水で、編集さんも私から聞いて初めて知ったという人もいたくらい。
で、これは業界関係ない人に向けての注釈になるんですが、消費税導入のときにカバーの掛け替えその他で出版社も書店もえらい苦労した、掛け替えのコストに耐えられず絶版した本も多いという事情があります。これ、出版業界的に割と悪夢の記憶。
その悪夢を乗り越えて、今の「本体価格+税」という形式に落ち着いた、と多くの出版関係者(版元・書店)は思っていて、現場はもう完全にそのつもりでおった、と。
それが突然「その措置、期限決めてあったよね~? 期限来るからやめるよ。総額表示の対応してね。スリップとかでできるでしょ」と言われて「な、何だと……!?」ってなってんのが今(業界が措置の期限延長を交渉したりとか色々あったらしいけど、その経緯はよう分からん。とにかく今回初めて知った、という人が私も含めて多い)
「業界は今の形式に合わせてスリップレス化が進んでるのに今さらスリップ!? 無理やん!」
「全商品対応せないかんとしたらどこが作業すんの!? あとコストはどこが持つの!?」
「消費税これからも上がるかもしれんのに一々対応すんの!? 無理やん!」
「絶版の悪夢再来!? 倒産するとこも出るでこれ!」
キャー! ワー! 阿鼻叫喚のパニック。
正直、私も最初に知ったときはパニックやったで~。
ただ、お役所的には「猶予期間あったよね? 今まで何してたの?」という話でしかない。
そかそか、相手お役所やった。
で、お役所というもんは決まった手続きを然るべく実行するもんや。
そうなると、これは「決まってたことやから」「ただで向こうが100パー引っ込むわけない」(だって何年も前から決まってたこと実行できんかったらお役所的に大失態やからね。そら引っ込むわけない)
じゃあどうする? → 落としどころを探す。
と、私はこういう感じに認識が切り替わったわけですが。
で、個人的に思った落としどころは
①罰則規定がないこと
②期限前の商品は遡って対応しなくて良いこと
③期限後に消費税率が変わった場合、都度の修正対応をしなくて良いこと
かなーと。
で、ここで他人様のツィートをちょっと引用させていただきますが、
https://twitter.com/fujisue/status/1306756314043805696?s=20
出版物の総額表示義務化の件について、財務省の担当者から話を伺いました。
— 藤末 健三 (@fujisue) September 18, 2020
ポイントは以下の通りです。
・出版物に限らず全ての販売物に対して、R3年4月1日より総額表示義務がかかる
・1年半の特例措置を取り、業界団体に対しても周知する機会を設けている
(続)
https://twitter.com/fujisue/status/1306756315130159104?s=20
・総額表示自体は消費者のニーズが大きい
— 藤末 健三 (@fujisue) September 18, 2020
・業界から意見交換の場で口頭による要望はあったが、書面による要望は出されていない
(※業界の関係者からの話では、業界としても出版社によって認識に差があるということでしたので、今後改めて要望が出されたりする可能性はあるかもしれません)
(続)
https://twitter.com/fujisue/status/1306756316476571649?s=20
・既に書店に並んでいたり、在庫にあるものを財務省や国税庁が出版社や取次業者に回収させて対応を徹底させるということは有り得ない
— 藤末 健三 (@fujisue) September 18, 2020
・対応の方法は、カバーの掛替やスリップ、シール以外の方法であっても総額が分かるようになっていれば問題ない
(続)
https://twitter.com/fujisue/status/1306756317474766848?s=20
・罰則はなく、そもそも消費者保護のための措置なので、消費者からクレームが入らなければ行政指導もない
— 藤末 健三 (@fujisue) September 18, 2020
ということでした。
(続)
https://twitter.com/fujisue/status/1306756318456242176?s=20
私としては、総額表示自体は法律で定めたことであるため、何もしなくていいというわけにはいかないが、経営危機に陥ったりするような対応を求められているわけではなく、できる範囲で対応していただくということだと考えます。
— 藤末 健三 (@fujisue) September 18, 2020
(続)
以下略、必要なとこまで引用したんで気になる人はツリー最後まで読んでください。
私が個人的に思った落としどころ、①と②は財務省がそう言ってるならクリア。(記録は残しときたいところです)
後は③。これは「事実上」そうなる総額表記、税率が変わったときも改めての対応をする必要がない総額表記のガイドラインを業界側が模索して上手いこと切り抜けなあかんとこちゃうかなーと思います。
お役所側が「このようにすればOKですよ」と指針を向こうから示すことはまずないんで。だって出版業界のことよう分からんし、下手なこと言って間違ってたら責任問題やん?
お役所はどこも「これでいかがでしょうか?」とお伺いを立てられた物事に対して可否を下す組織。いい悪いじゃなくそういうもんやと私は認識しとります。
でも、押したりつついたりしたらヒントは零れてくることがあって、引用させていただいたツィートはかなりのヒントに満ちていると思います。
見えてるものを活用して考えるのはプロの仕事。頼むでプロ。出版業界のえらい人たちはきっと頭がいいはず。会ったことないから知らんけど。
で、ここ大事やと思うんですが、見えない陰謀やら悪意やらを「お前たちは企んでいるに違いない!」と攻撃すると、人は誰しも反発する。
すると、お前らにはヒントの砂粒一つ落としてやるか! とシャッターが閉じるわけですわ。
なので、声の上げ方考えんと損します。
あと、他の業界でも似たり寄ったりこういう「晴天の霹靂」で苦労してるとこはあるわけで、泣きながら対応してきたとこもあるわけです。
「出版は文化なので守られるべき!」という文言は、よその業界からは「お前らだけ何様や!」となりかねんよ~。というのは、苦労した業界の人である知人に言われました。私も若干そう思ってるとこあったんで反省反省。
まあまあ、そんなこんなで。
「お役所が納得する+現場の負担がない方式」を業界のえらい人が考えついてくれることを切に祈りつつ、個人的な覚え書き終わり。
(個人的に色々思ってる案はありますが、それは担当編集に直接伝えてるのでここには書きません)
個人的な覚え書きやから、誰にも責任は取りまへんで~。
【blogの注意書きにも書かせていただいておりますが、当blogの個人様・書店さん以外の悪意ある無断リンクや無断転載は固くお断りいたします。悪意を感じられるかどうかは、私と出版社の判断に依るものとさせていただきます。また、blog内容は、あくまで一作家の一意見であることをご了承ください】
【blogの注意書きを変えてほしい方がおられるようですが(特に「悪意ある無断リンク禁止」の部分)、悪意を拒否する意志を発することは自由だと考えておりますので、ご了承ください】