This is Arifield -4ページ目

びびり

心配事なんて、ないんだぜ!
と思っているたちかと思ったけど、

かなりのビビリであることが発覚した、初冬の夜

よくばり

欲のない人間と思っていたが、なんだか強欲に取り憑かれた出した気がした、冬空の午後

せかい

「どなたかおじいちゃんをお落としではありませんか?」と訊いてしまいそうなくらい、おじいちゃんが倒れていることに遭遇する。と言っても2回目だが、だがひと月のうちに2回だから、割と高確率だと思う。
先日のおじいちゃんは、最終的には頭蹴ったろか!と思わされるような人だったが、この日のおじいちゃんは雨でずぶ濡れで、そしてこれは前回と同じだったが、なにを言っているのかは皆目分からないほどフガフガと話されていた。
「病院行きますか?」
「フガフガ」
「救急車呼びますか?」
「フガフガ」
ラとチがあかなかったので、僕はおじいちゃんをとりあえず濡れない場所にお姫様抱っこで移動させて、救急車を呼ぼうとした。すると、おじいちゃんがフガフガと頭を横に振った。どうやら行きたくないみたいだった。ではどこに向かうのか?と問うてみたら「◯◯病院」とかろうじて聞こえた。病院行くんかぃ!と思ったが、なんとか僕がロシアのスパイだった頃に学んだ読唇術でその病院の向かいのマンションに向かいたいということが理解できた。目視でもそのマンションの位置は分かるほど近場だったので(たぶん300mくらい)今度はおじいちゃんをおぶって、歩き出した。
おぶってみて思ったが、おぶられている方もしっかりと掴んでいないと、意外とおぶるのも難しいことが判明した。何度かずり落ちそうになった。そしてもうひとつ判明した事がある。

僕は筋肉と持久力がない。

という事だ。なぜ僕は安請け合いでおじいちゃんをおぶろうとしたのか。僕には筋肉も持久力もないのに。たかだか300mと思ったが、富士登山くらい辛かった。やったことはないが。
ちゃっかり「そこの信号を曲がってね」なんて耳元で聞こえ出したので、そろそろ降ろそうかと思ったが、もうすぐそこなので最後までお伴した。マンションに着いて、オートロックの前で部屋番号を聞くのに苦心していると、同じマンションに住んでいるだろうおばちゃんが、救いの手を差し伸べてくれて、キーを開けて中の待合室の椅子に座らせる事ができた。ホッとしていたら、おじいちゃんは何度か意味もわからず立ち上がろうとしたがすぐによろけてこけそうになっていたので、おばちゃんに注意されていた。
そのうちマンションの管理人らしきおじさんが現れたので、その人におじいちゃんを引き渡して、僕の奇妙な経験は終わりを迎えた。
おじいちゃんからは「力の強い人だねぇ」みたいなことを言われた。おばちゃんには「おじいちゃん、親切な人が通りかかってくれて良かったね」と言われたが、両方とも僕には当てはまらないので、誰か違う人のことを言っているんだと思う(笑)

本当にいい人ならこんな所に書いたりしないし、僕はなんなら部屋まで連れて行って「おじいちゃん、実はね、僕は今週中に20万円くらい入り用なんだ」と言おうと思ってたくらいなんだから。


と、卑屈になる必要はないんだけど、高齢化社会の到来。そんなものを少し感じてしまいましたとさ。

おじいまい、おじいまい。


PS
いま、スーパー銭湯の仮眠室で、目の前で仮眠しているおばぁの足裏を見ながら書いています。