愛里跨(ありか)の恋愛スイッチ小説(飛香&愛海編51) | 愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ

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愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-カップル2


 

51、ひたむきな愛と喪服の花嫁



 

私と東さんは、フォレドリオン自然公園での撮影を終え、
トロワのこじんまりとしたホテルで一泊した。
穏やかに食事を済ませ、

それぞれの部屋で静かに就寝したのだ。
そして翌日の彼は、いつもの冷静な東さんで…

 


光世「飛香ちゃん、おはよう」
飛香「おはようございます」
光世「せっかくトロワに来たから、ここでも少し撮影して帰ろう。
  今から行く街も心がほっとするようなところだよ」
飛香「はい」

 

昨日のことなどまったく感じさせない…
チェックアウトした後、私たちは、
マレシャル・フォッシュ広場の街並みを撮影することになった。

 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-オープンカフェ

 

(トロワシャンパーニュ、マレシャル・フォッシュ広場)


 

光世「飛香ちゃん。僕はここで少し撮影するから、
  君はカフェでお茶でも飲みながら休憩してて。
  終わったらすぐ行くからね」
飛香「ええ。わかったわ」



東さんはにこっと笑ってカメラを抱え歩き出す。
私も街並みをゆっくり眺めながら、

広場の角にあるオープンカフェに入った。
空を見上げれば、水色の空に白い雲がふわふわと浮かび、
歴史を感じさせるストーンブロックの建物の屋上には、

フランスの国旗がはためく。
ピンクやイエロー、オレンジのカラフルなパステルカラーの木造店舗。
クラシカルな靴屋さんに、セレカジスタイルのブティック、
クラウンやハートのキュートなネックレスが並ぶジュエリー店と立ち並び、
広場にはたくさんの自転車が止めてある。
友人同士なのか、肩を組んで大笑いしながら話し歩いてる女性たち。
キャッシュディスペンサーで、お金を下すスーツの男性。
道路に大きなトラックを止めて、必死で荷物を降ろしてる作業員。

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-紅茶2

 

私はカフェの椅子に座って、

フランス伝統の紅茶マリアージュフレールを飲みながら、
見知らぬ街の平穏な姿と、
真剣な顔で撮影している東さんの姿を目で追っていた。
「貴方はなんて心の強い人なの…」と思いながら…

 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-飛香2


 

撮影を終えた東さんは、

私が待っていたカフェに来て空腹を満す。
きっと傍から見れば、

心に悲しみを抱えた二人にはまったく見えない。
それくらい、爽やかな東さんが私の前にいた。
一時間くらいカフェで過ごした私たちは、急いでパリに戻ったのだ。



 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-街並み

 

(パリ、大佐和のオフィス兼店舗)

 

大佐和「遅い!遅いぞー!

   光世、今日の昼過ぎには帰ってくる約束だったろ」
光世 「すまん。ついトロワで長居しすぎた」
大佐和「すぐ出かけないと、先方を待たせることになるぞ」
光世 「ああ。わかってる。
   飛香ちゃん、帰ってきて早々ですまないけど、

   ちょっと店番しててくれるかな」
飛香 「あっ、はい。いいですよ」
大佐和「飛香さん、本当に申し訳ないね。
   今からサン=ドニまで商談に行ってくるから、
   もしお客さんが来たら内容と連絡先だけ聞いておいてくれる?
   帰ってきたら僕から連絡するから」
飛香 「ええ。分かりました」
光世 「頼むね。夕方には帰ってくるからね。

   おみやげも期待してて」
飛香 「はい。お二人とも安心して行ってきて」
大佐和「ありがとう。飛香さんが居てくれて本当に助かるよ。
   それに比べ、光世は役に立たないからなぁ。
   今日のことは全部、光世のせいだから、
   今晩は二人してこいつにしっかり美味しいものおごってもらおうな」
飛香 「そうね。楽しみだわ」
光世 「直弥、調子に乗るなよ。

   今回の商談はお前の仕事だろ。
   俺が居ないと困るのはお前だろ。

   僕にそんな態度とれるのか?」
大佐和「ん?そうだったかなぁー。
   光世くん。まぁ、細かいこと言わずに。

   ささ、行きますよー。
   飛香さん、いってきます」
光世 「ったく!」
飛香 「おははははっ。二人とも気を付けて、いってらっしゃい!」
光世 「ふっ。やっと笑ったな。
   じゃ、飛香ちゃん。いってきます」
飛香 「東さん。いってらっしゃい」
 

照れくさそうな顔で大佐和さんは店を出て車に乗る。
二人の漫才のような掛け合いを聞いて思わず笑ってしまった私を見て、
東さんは安心した顔で出かけていった。



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-振り子時計

 

二人が出かけた後、
私は途中で止めていた個展作品のレイアウトの作成に入った。
アンティーク時計の振り子の音が、カチッカチッと静かな店舗に響く…
私の心は昨日とは明らかに違っていて、
迷いなく次々と作品の構図が浮かび仕上げることができている。
これも本来の私に戻れるきっかけを作ってくれた東さんのお蔭。



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-大佐和の店

 

作業を始めて一時間は経過しただろうか…
お店のドアベルが鳴った。


 

カランカラン…(ドアベルの音)

 

飛香 「Bonjour!(こんにちは)」
 

私は作業していた手を止めて立ち上がり、
玄関のドアの前で立っているお客さんを見た。
その人は日本人の若い女性で、手には大きな雑誌を何冊か持ち、
店内をきょろきょろと見回している。

 

飛香「あの…。何かお探しですか?」
寿里「あぁ…。ここは貴女のお店ですか?」
飛香「いえ、臨時でお仕事をしてる者ですけど」
寿里「そうですか…。

  私、ここにくれば何かわかるかと思って」
飛香「ん?…。あの、お探しなのは絵画ですか?

  それとも写真ですか?」
寿里「いえ、人を探してるんです」
飛香「人?」
 

私は彼女が言ってる意味が解らず、ちょっと考えていたのだけど…
 

飛香「今、オーナーが外出中で夕方まで帰ってこないので、
  私で良かったら、詳しくお話聞かせて貰えますか?
  お時間があるならお紅茶いれますから」
寿里「あ、はい。ありがとうございます」
 

彼女をお店のソファーに案内して、紅茶の用意をした。
彼女は私が席につくまで無言で店内の写真や絵画、
私の展示ブーケを見ている。

 

飛香「お客様、温かいうちにどうぞ」
寿里「ありがとうございます。いただきます。
  うん…美味しい…。
  あの。私は東京から来ました、村勢寿里と申します」
飛香「村勢寿里さん…。あっ。
  私はフラワーアーティストの風見飛香と申します」
寿里「フラワーアーティストの風見飛香さん。
  ……店頭のウェディングブーケは風見さんの作品ですか?」
飛香「ええ。そうよ」
寿里「あっ。もしかして…この間パリでイベントをされた方?」
飛香「ええ。イベントのことご存じだったの?」
寿里「はい。ニュースで見たんです」
飛香「そう。あの、村勢さん。
  先ほどの話だけど、人を探してるってその人はフランスの方なの?」
 

彼女は一口紅茶を飲むと、

持っていた分厚い本をテーブルに置いて話し出した。
 

寿里「いえ、日本人の男性二人です。
  でも、その方がどこに住んでるのかも分からずで、
  手がかりがこの写真集しかなくて。
  写真集の最後のページにあったのがこちらの住所だったもので、
  旅行がてら来てみたんです。
  もしかしたら、何か分かるかもしれないと思ったので…」
飛香「そうなの。その写真集、拝見してもいいですか?」
寿里「はい」

 

彼女はテーブルに置いていた写真集を私に手渡した。
表紙を見ると、それは東さんが以前出版した写真集で、
最後のページを見ると…監修、東光世とあり、
編集・撮影協力に大佐和さんの名前と、デザイン協力に蘭花の名前もある。
そして英語で書かれた見積もり書が一枚、最後のページに挟んであり、
東さんと大佐和さんのサインが入っていた。
私は前に戻って一枚ずつページを開き、東さんの写真を見た。
 

寿里「その写真集を持っていた人に私は以前救われたもので、
  どうしてもお会いしてその時のお礼を言いたくて…」
飛香「救われた?」
寿里「はい。その当時の私は気が動転してたので、
  気づいた時には、もうその方達は居なくて…
  結局、助けてもらったのにお二人の連絡先も聞けなかったんです。
  その場に落ちていた袋に入ったその写真集と、
  写真集に挟んであった英語で書かれてる書類が一枚あっただけ。
  もしかしたら大切な書類だったら悪いと思って、
  すぐ警察に届けようとも思ったんですけど、
  これを手放すとほんとに手掛かりがなくなってしまうから…」
飛香「そう…」
 

彼女は思いつめた様子で下を向きながら、か細い声で話す。
 

飛香「あの、助けてもらったって貴女の身に何があったの?」
寿里「それは…」

 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-悲しむ女性2


 

 

<回想シーン>

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-夜の東京

 

(東京都新宿区、とある公園通り)


私は仕事を終えて、当時付き合っていた彼と食事に出かけた帰りでした。
その日の彼はいつもと違ってなぜか元気がなくて、
笑って話してても、すぐ笑顔は消えてしまうので、
私はなんとなく不安を抱えながら、彼と一緒に家に向かって歩いてました。

 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-深夜の公園通り

 

公園の入口に差し掛かった時、彼がいきなり立ち止まり、
胸を押さえるとそのまま倒れてしまったんです。
その日は大雨で、いつもなら人通りの多い通りにも人影はなくて、
私は倒れた彼の名前を必死で叫んで、何度も彼を揺さぶってました。
ちょうどそこに、自転車に乗った男性が通りかかったので、
私は藁をもすがる思いで泣きながら声をかけたのですが…

 

寿里「すみません!お願いです!助けてください!
  救急車呼んでもらえませんか!?」
自転車男性「え?そんなの知らないよー。
  いきなり通りにかかりにそんなこと言われても。
  俺は関係ないし、面倒に巻き込まれるのは御免だから」
寿里「そんな…。誰でもいいんです!
  誰か呼んできてもらえたらいいんです!」
男性「だから、知らんって!」

 

その男性は必死で助けてという私の手を跳ね除け冷たくあしらって、
また自転車に乗ってどこかへ行ってしまいました。
雨はどんどんひどくなるし、
びくとも動かない彼の手もどんどん冷たくなる…
私は救急車を呼ぼうとカバンから携帯を出したのですけど、
手の震えと動揺で、側溝に携帯を落としてしまって、
もう駄目だとその場に座り込んでいました…

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-絶望

 

寿里 「ひーくん…お願い…しっかりして…」
男性A「あの!どうしました!? 」
男性B「大変だ!
   (大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?
   意識がないな」
男性A「もしもし…救急です!

   男性が一人倒れてて意識がありません!
   …住所は新宿区二丁目…」

 

二人の男性は代わる代わる必死で人工呼吸と心臓マッサージをしてくれて、
そのうち、騒ぎに気がついた人たちも救急車を誘導してくれました。
担架で運ばれる彼を気にかけながらも私は、
助けてくれた男性二人の姿を必死で探したんですけど、
たくさんの人がいてわからなくて、結局見失ってしまいました。
すると、救急車に乗り込む時に年配の女性から声をかけられて…

 

女性「これ貴女の荷物でしょ?大変だけどしっかりね」
寿里「えっ、これは…ありがとうございます…」

 

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-夜の雨

 

 



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-紅茶2
 

 

(パリ、大佐和のオフィス兼店舗)



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-飛香3

 

飛香「そうだったの…。そんな大変なことがあったの…
  それで病院へ運ばれた彼は無事だったの?」
寿里「いえ、彼は…亡くなりました。もうすぐ1年半になります」
飛香「えっ…」
寿里「もう少し早く処置をしていたら、
  助かったかもしれないと医師に言われました。
  でも、私の不注意で携帯を落としちゃったし、
  倒れてから救急車が来るまでに30分以上が経過していて、
  病院に着いた時はもう…
  私自身が倒れた彼に対して何一つできなかったんです。
  体調の悪い彼にも気がついてあげられなかったし、
  もっと冷静に対処してたら、

  もしかしたら彼は命を落とすことはなかった…
  彼が亡くなったのは、すべて私の責任なんです」
飛香「そんなこと…そんなに自分を責めちゃだめよ。
  今まで、貴女の心も大変だったんだから」
寿里「はい…。ただ、あの辛い出来事でも学びがありました。
  見知らぬ人の冷酷さと、見知らぬ人の温かさを同時に知ったんです。
  お蔭で私の人生も歩む道も大きく変わりました」
飛香「そう」
寿里「はい。今は少しだけですけど、
  彼のためにこうやって旅行できるくらい落ち着きました」
飛香「彼のために?」
寿里「ええ。彼と一緒にフランス旅行に行く約束をしていたので、
  1周忌も終わって自分の心にけじめをつけるためにきました」
飛香「心のけじめ…」
寿里「私、今でもひーくんのこと愛してるんです。
  助けてくれた二人の男性を探してお礼を言えたら、
  私は彼とフランスでひとり結婚式を挙げるつもりでいます」

飛香「えっ、結婚式!?」
寿里「はい。それがこの旅の目的でもあるんです。
  こちらでもし協力してもらえたらと思ってきました。
  きっとその男性に会うことができたら思い出すと思うんですけど、
  実は助けてくださった男性の顔も何となくしか想い出せなくて、
  自力だと見つける自信がありません。
  それで、挟んであった書類を知り合いに見てもらったら、
  住所からこちらのお店だとわかりました。
  失礼を承知でお願いにきたんです。
  風見さん、お願いです。私に力を貸してもらえませんか?
  それと私のためにウェディングブーケも作ってほしいんです」
飛香「えっ…」

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-結婚式のブーケ

 

 

突然放たれた彼女の意外な言葉で、私の中に衝撃と動揺が走った。
今まで私が手掛けてきた作品は、

幸せな彼との生活を夢見る花嫁さんが手にするウェディングブーケ。
私は突然の二つのお願いにどう対応したらいいのかわからず、
亡くなった彼に向けられたひたむきな愛と、
彼女の縋りつくような真剣な眼差しを、
ただ無言で受け止めるしかなかったのだった。

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-追悼するバラ


(続く)


この物語はフィクションです。



 

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