しかし、私たちはいくつかの大きな負の遺産を次の時代に引き継ごうとしている事を決して忘れてはいけません。
そのうちの最も大きなものが原発問題です。
福島の原発事故は、もはや2020年のオリンピックの為に、無かった事にされています。
しかし、福島第1原発では今でも謎の水蒸氣で辺りが真っ白になる事があるのです。
放射能漏れは依然として続いています。
● なぜ変われない?(過去記事)
先日、豊橋の会場で樋口英明元裁判長さんのご夫妻とお会いしました。
樋口さんは、3.11後、初めて原発の運転差し止めを命じた裁判長です。
しかし、樋口さんが2014年5月21日に言い渡した大飯原発の運転差し止めを命じる判決も、2018年7月4日の控訴審判決によって取り消されてしまいました。
3.11後に4件の運転差し止めが認められましたが、全てことごとく取り消されています。
樋口裁判長によって、2014年に大飯原発の運転差し止めが言い渡された瞬間、「司法は生きていた!」と人々は涙したのでした。
原発を止められるのは司法だけだからです。
樋口氏は、原発の脆弱さを訴え、今後も原発の耐震性を揺るがす地震がいつくるやも知れないので、人々を守るために正しい判断を下してくださったのです。
大飯原発の基準地震動は、700ガルに設定されています。
それでも何とか最大でも1260ガルまでなら耐えられるとしています。
ところが、平成20年に発生した岩手・宮城内陸地震では、その値をはるかに超えた4022ガルという規模の地震だったのです。
一般住宅の方が、原発よりもよっぽど高い耐震性を持っている事をどう思われますか?
地震はいつ何時、何処にどれくらいの規模で発生するかは誰にも分かりません。
ところが、電力会社側は地震学者の当てにならない根拠を示して、原発には大きな地震は絶対に来ないと言うのです。
絶対安全だと言っていた原発が爆発したにもかかわらず、です。
樋口さんは、多くの裁判長は「原発に関しての規制基準の辻褄が合っているか」で判断をし、それが国民の安全を確保する内容になっているかという大切な事に目を向けていないのを憂いています。
政府は、M8クラスの南海トラフ地震によって大津波などによる死者が最大30万人超、経済的被害が220兆円に上るとの想定を出しています。
いつか巨大地震が来るのが分かっているのに、原発の存在を無視するのですか?
前もって人々の避難などを考えるならば、真っ先に一番危ない原発の廃炉を進めておくべきではないでしょうか。
地震でいくら建物が倒壊し、大火災が起きたとしても、時が経てば皆で力を合わせて復興することが出来ます。
しかし、ひとたび原発事故が起こってしまうとその場所を元に戻す事は出来ないのです。
プルトニウムやストロンチウム、セシウムなどの放射能は人間の手には負えないどころか、命まで奪うものだからです。
日本は2回も原爆が投下され、原発事故も起きて一番放射能の怖さを思い知っていると言うのに、まだ原発を再稼働させようとしているだけでなく、外国にまで売ろうとしています。
そんな日本人を、外国人が理解できなくて当然です。
どこの国も輸入してくれなくて、それでも政府はまだ目が覚めないのでしょうか。
リニアと原発は密接な関係があるのです。体質も同じ。
双方の即時廃止を求めていかない限り、我々に未来はありません。
樋口さんは、昨年7月の高裁判決を静かに注目されていましたが、その判決に相当失望されたのだと思います。
翌月から新聞各紙のインタビューを受け、積極的に動き出しました。
そして、原発の危険性を「事故を知らない若者たち」に知ってもらい、廃炉に向けて情報を拡散してもらおうと、大学などで講演会をされるようになりました。
これからの未来を担い、どの世界を選択するかは、彼ら次第なのです。
この重要な情報を知っているか否かで、日本は大きく変わります。
大学以外でも、広島や名古屋方面で講演会が開催されます⬇︎
樋口さんご夫妻が、私の元へやって来て下さったこのご縁と意味を大切にしたいと思います。