いつもお世話になっている小出裕章助教の動画より
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/05/16/tanemaki-may16/
MC:今回の1号機のメルトダウンの報道について、「東電は、地震の直後からこの事を解っていたのではないか。
重要な事実を隠して来たようにしか思えないのだが」
小出氏:事故の過程のデータの出し方について、2つの問題があると思う。
今回、東京電力が1号機はメルトダウンをしていたと認めた訳だが、それが、東京電力が初めから解っていたのに隠していたのか、あるいは事態を正確に把握するデータを持ち得なかったために、判断が間違えていたのか、どちらかだろうと思う。
MC:知りながら隠していたとしたら、それは許されない事だが、知り得なかったとしたら・・・
小出氏:それが余計深刻だと思う。
東京電力すら事態がどうなっているか解らないまま、今日まで来てしまっているという事を示している訳なので、どちらの場合でも物凄い深刻な事だと私は思う。
もともと、私のような人間にとっては、信頼性のおけるデータというものが全て。
それが命。
しかし今回いきなりもう全部が露出しているというふうに言われた。
MC:これは、細野首相補佐官も認める格好となった。
小出氏:でも、私自身は、今東京電力が言っている事も、本当にそれが信頼出来るデータなのだろうか、という事に、今は眉に唾を付けながら聞いている。
それ程その事故の実態が解らないまま、皆でああでもないこうでもないと議論をしているのではないかと恐れている。
MC:細野さんによると、2号機3号機もメルトダウンしていうという恐れを含めて、工程表を考え直す、と。
小出氏:1号機は、水位計を調整するまでは、燃料棒の先端からマイナス1700mmまでは水があると言っていたものが、水位計を調整した結果一気に炉心が丸裸だったと言った。
2号炉も3号炉ももちろん、その可能性が強い訳で、そちらも既に溶け落ちている可能性はあるだろう。
MC:しかし、菅総理は、工程表に日程には大きな影響は与えないて行けるのではないか、と答弁している。
小出氏:私は少なくとも専門家のはしくれだが、私にも全く解らない。
どういう論理でそんな発言が出て来るのか。
平野氏:そもそも水棺が出来なかったという事自体も、今後の作業が上手く行かないのを承知をしているような気がしている。
水素爆発も考えられなかったみたいな事を、東電の人達が言っているが、今になって解るデータが、3月11日の午後11時に、放射線量が原子炉建屋とタービン建屋の間の扉で、毎時1.2~0.5mSv観測されていた、というようなニュースが今日流れている。
これを見て一科学者として、爆発の可能性は判断できなかったのか。
小出氏:確かその時には、同時に1時間当たり300mSvというような測定値もあったが、そのような高い線量があるとすると、もう燃料が損傷を始めているという事だから、水素爆発は十分に起こり得ると思ったはずだ。
MC:水素爆発の予測が出来たら、近隣の方達に少しでも逃げてくれと言えなかったのか。
小出氏:もちろん言わなければいけなかった。
でも私もそういうデータを全く知らないまま、12日に1号炉の原子炉建屋がいきなり鉄骨だけになってしまった、という映像を見て、驚愕した。
たぶん原子力を推進して来た人達も、ビックリしただろうと思うし、本当であれば、もっと正確なデータを時々刻々提供すべきだったと思う。
これは、東京電力が知り得た情報を隠した、という方に当たる。
MC:ここの所を隠さず、時々刻々出していたら、いろいろな方達がすぐに逃げてくれ、というメッセージを出せたかもしれないし、少なくともあの時、小出先生は1mでも遠くへ逃げて頂きたいと思っている、と発言したのを私は覚えている。
ここの所が、国家的に機能しなかったというのは、やはり情報の出し方に大きな原因があった。
小出氏:全く情報に関して、隠すという方の典型。
近藤氏:先生、3号機の方、細野補佐官が今最も気掛かりだ、というような事を言っているのだが、ホウ酸というのを注入しようと。
これは前も話があったが、これが今上手く行っていないのか。
小出氏:ホウ酸を注入する事自身は簡単だ。
近藤氏:これは再臨界を防ぐためだが、効果はあるのか。
小出氏:再臨界を防ぐという意味では、ホウ酸は圧倒的な効果がある。
入れるのはもちろん良い事だと思う。
近藤氏:逆に、再臨界の可能性があると見た方が良いのか。
小出氏:東京電力が、そう考えた訳。
近藤氏:念のために、と言っているが。
小出氏:私は、もともと福島の原発で再臨界が起きる可能性は物凄い少ないと思って来た。
それで、一時期クロルの38が検出されたと東京電力が言った時には、それならば再臨界を疑う以外にない、と私は発言をした。
まさかそんな事はないだろうと思いながら。
しかし、その後クロル38の検出は無かった、と東京電力は訂正したので、再臨界はたぶんこれからも起こらないだろうと思う。
念のためにホウ素を入れるのは良い事だ。
MC:津波でこのような事態になったというのは想定外だった、と今まで聞いていたが、そうではなく、経済産業省の原子力安全基盤機構という所が、2007年度から警告をしていた、と。
津波で炉心の損傷が起こると警告をしていたそうだ。
小出氏:原子力施設は何が起きても不思議ではなく、小さなトラブルでもそれが拡大して行く。
もともと「想定外」というような言葉を使ってはいけないような機械だと、私は思って来た。
ただ、そういう事を言ってしまうと、原発は、建設出来なくなってしまう。
だから、国としては、どんな事があっても「想定外」という言葉を使い続けるしかない。
MC:それから、60歳代の男性作業員の方が、死因は心不全と伝えられているが、ひとり亡くなった。
被曝線量は低い、そしてまた放射性物質の体への付着は無かった、そして外傷も無かった、というふうに伝えられている。
これとは別件だが、作業員の方が毎日新聞の取材に答えて証言していて、この所作業のルールや手順が大分緩くなっていて、これまでだったら、体を汚染した場合はしっかり洗って完全に落とさなければならなかったのに、今は完全な除染が出来なくても作業に戻っているという。
小出氏:あり得る事だ。
物凄く長く被曝作業が続いている訳で、現場は本当に混乱を極めていると思う。
どんどん被曝の管理が緩くなるという事は、私から見ても想像に難くない。
何とか気を引き締めて、やって頂きたい。
もう一言付け加えたいのだが、今回の亡くなった方が、仮に被曝で亡くなったのでないとしても、この物凄い困難な原子炉事故を収束させるために過酷な被曝環境の中で作業をしてきた。
夜寝るのも床に敷いた寝袋の中で寝なければいけない、そのような環境の中で働いて来た方が亡くなったいう。
その事だけは忘れて欲しくないと思う。
MC:そうした過酷な環境の中で、本当に命がけで頑張って下さっている方がいて、今何とか今日この時を迎えているというのを感じる。
<まとめここまで>
命がけで、原発の収束の為に頑張ってくれている方々がいます。
私に出来る事、、、私も命をかけてでも、原発をこの世界からなくしていきたいと思っています。。。
おおげさに思われるかも知れませんが、そのくらい真剣です。