アンドレはあの後すぐに家を出てネックレスを握りしめたまま墓地まで歩いた。街の端にある教会の隣の広い墓地にジェナの墓がある。真新しくて芝も青く、ピンクと白のユリの花束が置いてある。見つけるのはすごく簡単だ。アンドレは彼女の墓の前に膝を抱えて座った。Apr 18 1996~May 27 2012 という数字をずっと見ていた。たった16年と1ヶ月の人生だ。
ジェナはアンドレが墓の前にいるのを見つけた。彼の表情はまるで幽霊のようだ。顔は青くて目は曇っている。今すぐそばに行きたかった。
アンドレは手を開いてネックレスを見た。これをあげた時、ジェナはすごく喜んでいた。ネックレスは留め金が捻れている。無理やり取られたんだろう。目の奥が熱くなり、ゆっくりと涙が流れた。こんな終わり方だと思わなかった。彼女と仲直りして、また楽しい日々を過ごすと思っていた。
「ジェナ…」アンドレはつぶやいた。
「ごめんな…こんなことになるなんて…。まさか…こんなことになるなんて。守ってやれなくてごめん。…君があんな風に殺されるなんて悔しいよ」アンドレは嗚咽まじりに言った。
ジェナは拳を握りながら涙を流した。あなたのせいじゃない、そう言いたくても彼には聞こえない。
「上手く出来なかったから不機嫌になって喧嘩するなんて最低だったよな。辛い思いさせたよな。ごめんな…。君との2年間は最高だったよ。本当に愛してるし、これからもそうだ…」アンドレは泣きながらうつむいた。
「だけど…俺にはもう耐えられない。君から離れないと壊れそうなんだ…。ごめん…」アンドレは両手で顔を覆った。
ジェナは体を丸めて泣いた。私は死んで、彼は生きてる。彼には未来があって私にはない。彼の選択は正しい。それでも辛かった。ジェナは受け入れることしかできない。アンドレを失いたくない。そばにいてほしい。
アンドレはよろよろと立ち上がるとジェナの墓に背を向けて墓地から出た。涙を止めて、ジェナとの思い出を一つずつ思い出しながら心の奥底にしまっていった。
橋の途中で止まると、彼は柵から川を眺めた。ずっとずっと遠くまで続いている。手の中のネックレスは暖かく湿っている。もう一度ネックレスを見てみた。主を失ってボロボロになったネックレス。もう誰にも必要ない。アンドレは手を伸ばしてネックレスを離した。ネックレスはポトンと音をたてて川の中に落ちた。
しばらく落ちた辺りを見つめてから、アンドレは家を目指して歩きだした。
ジェナは川の中に沈んだネックレスを見た。もう2度とそれを身につけることはない。私はもうアンドレのものじゃない。私は彼を解放して、彼の人生を歩ませるべきだ。いつか彼は誰かを見つけて恋に落ちるだろう。私にはもう関係ない。もう見守る必要はない。ジェナはアンドレの後ろ姿を目に焼き付けた。彼の全てが恋しくてたまらない。でも恋しがるのはこの時まで。
ジェナは目を閉じて、アンドレを見るのをやめた。
