これは私の限りある知識に基づく記事であり

専門家や研究者のものではなく

多分に個人の趣向や偏りのある考え方が

混ざっています ご理解の上お読みください💦


宝塚歌劇団は

キャストがすべて未婚の女性であり

男役女役という特異な芸能分野を

確立した劇団です

のみならず

自前の劇場稽古場スタッフを有し

それ以外でも全国各地で定期的な公演を打つ世界でも稀有な劇団です

しかも その殆どは

座付作家によるオリジナル作品


この興行形態を可能にしているのが

固定した座組を複数要する事と

スターシステムです


また宝塚歌劇団は興行収益の他

専用チャンネルを持ち

専門の機関誌 スターポート 舞台写真

公演毎 組ごと スター毎のグッズ

DVD CDを

専用の店舗 ネットショップで

販売しています

近年では 配信サービスも加わりました

これらの副産物とも言える収益により

宝塚のチケットやパンフレットは

他興行では考えられない安価で

抑えられています

また他興行ではギャラが発生しえない

研修生ほどの劇団員にも

給与が支給され 定期的な出演作品が

保障されています

余談になりますが

よくスターだけで公演は出来ないとのご意見を

昨今耳にします

おっしゃる通り舞台はどんな端役の演者であろうと

欠かすことの出来ないものですが

スターなくしては端役が出演出来る公演は

実施されないのです

片方にだけ肩入れするご意見は

感情に走りすぎかと思われます


では 何故敢えて その副収入が

見込めない作品を上演するのか

それはやはり先を見通して

常に前進していこうとする企業努力に

他ならないのです

オリジナル作品でも秀作佳作はありますが

やはり海外或いは国内でも

一通りの評価を受けている

著作権版権のある作品は

宝塚固定のファン層以外にも注目を集め 新しい購買層を開拓できる機会をもたらします


演者においても

外部からスタッフを招聘したり

オリジナルではない作品への参加は

マンネリ化を防ぎ

新たな向上心を芽生えさせ

役者としてのキャリアとしても

次のオリジナル作品を演じる上でも

大きな糧になるのは間違いありません


特に宝塚のオリジナルは

トップスターへの当て書きが殆どで

予めスターが魅力的に見えるように

描かれるのが常です

今回の礼真琴ビッグフィッシュ

明らかに宝塚的ではないし

ファンの一部は限られた時間の中

もっと男役のこっちゃんが輝く

そして映像にも残る作品を と望む気持ち

痛いほどわかります

それもかなりのチケット難です


何故今

礼真琴にビッグフィッシュなのか

礼真琴はどのように

この作品を宝塚上演作品として

作り上げてくるのか

その答えを劇場で探せる方は

限られています


それでも そこには必ず意味があり

利益を度外視しても

目指すべき未来があると

製作サイドはこの上演を決定したのだと思います


こうした副産物のない上演作品が

舞台とはその場限りのものであり

演者はカメラの向こうの多数ではなく

目の前にいる観客の為に演じる

だからこそ舞台芸術は

観る方にも演ずる方にも

唯一無二の感動を与える

そのシンプルな大前提を

改めて思い返すきっかけにも

なるんじゃないかな と思います


DVDや配信サービスは

主流ではなく副産物である

舞台は

副産物ありきで作られるものではない


けれどもその副産物を常に提供してくれている宝塚歌劇団は

決してファンを蔑ろにしたり馬鹿にしたりするようなところではありません

ネットの中で

劇団はこんな事思ってそ〜

とかって書き込みを見かけますが

劇団とは組織名であり人ではありません

そこには各部署で働く

多数の人間がいて

管理職も含めて懸命に仕事をしている人がほとんどです

劇団の利益の為でなく自分のお給料の為に働くあなたと一緒の人達です


週刊誌の記事を映像化する

素晴らしい想像力があるならば

劇団で働くひとりひとり

劇団員のひとりひとりの日常を

想像してみてくれたら

きっともっと違うご意見も

聞けるのではないかと

私は想像しています