3本目はこれです
実は私は『RENT』を観ていません
この歴史的な作品が生まれた1994年
私は子育て真っ只中で
自己のアイデンティティを見据える
ゆとりも志向もありませんでした
10代から20代前半であったなら
なんとしても観たいと思ったはず

けれども この作品の音楽は
その後様々な機会に
聞くことが出来ました
とりわけ クリエコンサートで
中川晃教君の歌った Seasons of love
作品を知らなくても
細胞になんらかの活性化をもたらす
楽曲でした

その『RENT』のゲネプロで倒れ
還らぬ人となったプロデューサーの
ジョナサン·ラーソン
そして アンソニー自身の母との
別れを軸に
たった一人で演じ歌う
アンソニーラップ

きっと彼は
めちゃめちゃ歌が上手かったり
芝居が上手かったりする訳ではない
けれども 
彼が生きて 立っていた舞台が
彼そのものであり
それこそが心を揺さぶる

大事な人を失う痛みは
前日のモンスターコールズと
リンクして
少しずつ水位を増していた涙腺が
一気に崩壊して溢れ出す

この世界は愛で出来ているんだよ
だって
この世界に生きている人間は皆
愛に生きて 愛を残して死ぬんだもの

52万5600分
誰と会い 何を話し
何に笑い何に泣くか
すべては愛の為なんだ

そんなお伽噺のような事が信じられる
哀しいけど温かくて
避けては通れない別れすらも愛おしい
そんな漠然とした想いが
この3日間で私を満たしていきました

今は会えない愛しい人がいます
でも もう二度と会えない訳じゃない
チャンスが訪れたなら
決して躊躇はしない