藤前干潟についてその1 | 環学連通信

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各地の生物多様性に関心のある若者が中心となり環境保全学生連帯会議が発足しました。
日本中の水辺の再生を目指し日々活動中!

どうもこんにちは
愛知県で頑張っている人です。
いつも我々環学連の活動についてご覧いただきありがとうございます。

本日はラムサール条約指定地、藤前干潟についてお話させていただこうと思います。

まずは藤前干潟についてです。
この干潟は、貿易港である名古屋港、工業地帯に囲まれているとあり昔から埋め立てが進められてきました。戦時中にも埋め立てが行われていた との話もあり、現在においてはかなり面積が狭くなってしまった干潟になります。
また、名古屋市はこの干潟を埋め立て場にしようという計画を立て、一時危機的状況におかれました。が、当時の市長様らをはじめとした地域の方々による懸命な抗議活動の結果、干潟の重要性が理解され、埋め立て計画は中止、またその後にはラムサール条約による保護対象として指定を受けることができました。
当時の市の調査員は満潮時の干潟を見て、何もいない閑散とした場所
として、埋め立てには何も問題はない と主張していたそうですが、地域住民からなる調査団の干潮時の生物調査によってその豊かさが証明された との話もあります。
地域の声が大逆転を生んだ、一つの例なのではないでしょうか…。

堅苦しい話はここまでにして
次はどんな生き物がいるのか
今回の調査の結果から、ご紹介したいと思います


ソトオリガイ、エビジャコ、ヒラムシspです。
続いて

ニホンスナモグリです。
写真には無いですが…

様々な生き物がいます。

ここで重要種となるアナジャコ、ニホンスナモグリの紹介。

彼らは巣穴を掘って生活しています。
その巣穴にスコップを入れ、綺麗に割ってみると…表面の色が変わっているのに気が付くと思います。
これは、酸素を穴の中に巡らせることで土に含まれる金属質の酸化によるものです。
彼らは穴の表面を酸化、硬化させることにより、巣穴の崩壊を防いでいるのです。
それだけでなく、土中に酸素を行き渡らせるといった役割も担っている他、穴を利用するハゼなどの生き物への住処の提供、オオソリハシシギなど鳥類のエサとなったり
生態系への寄与は大きく、豊かな干潟を象徴する種ではないか、と考えています。
同様の役割はゴカイ類や貝類も担っていて、両者ともこの藤前には数多く生息しています。


他の調査ではチワラスボや、ウナギなどの珍しい生き物が確認されたり、
時期によってはガンテンイシヨウジウオやスジハゼをはじめとしたハゼ類などの幼魚を見ることも多く、“生命のゆりかごとしての干潟”
ということで重要な場所であるということは生き物をみるとよく分かると思います。

しかし、一見すばらしい環境に見えるこの干潟にも深刻な問題はあります。


ほんの10〜20分でこの量のゴミが何袋も集まってしまいます。そう、ゴミがかなりの数流れ着いているのです。
庄内川をはじめ大きな河川が3つ干潟に流れ込みます。その川から流れてきたゴミは干潟に溜まります。
干潟を掘っていると釣り糸の塊に当たったり、ビニール袋に当たることはよくあります。
こういった物は干潟に生息するあらゆる生き物への害となります。
また、

プラスチック片です。
特に5mm以下の物はマイクロプラスチックと呼ばれます。みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
こういった細かいものは回収することが難しく、また、分解されることなく環境中に蓄積し、食物連鎖を経て最終的に我々か口にする可能性がある、いわば全ての生き物にとって危機となるものであります。

生き物のゆりかごに大量のゴミ…
これは大きな問題だと思っております。

我々はこれからも地域の方々と協力し、保全活動に努めていきたいと思います。

また、少しでも多くの方々にご参加いただき、干潟の重要性及びゴミ問題について、一度考えていただきたいと思った一件でした。


以上になります。
お付き合いいただきありがとうございました。

(愛知県支部)