
湿地を作ろう実践編
第2回環境保全学生連帯会議の2日後の3月27日、耕作放棄地を利用し湿地帯を作ろう!は実行段階に来ました。
1湿地帯を作る

ということで、私たちが湿地化するのはここです。既に半ば湿地化してます。
この田は端から水が染み出していて、全体が水捌けがとても悪い草むらになってしまっています。そこで水捌けの悪い草むらに境界を作り、水捌けの悪い草むら、湿地、利活用可能な土地の三つに分けることで利用したい側にも、生物多様性保全に活かしたい側にも良い関係を目指します( ̄▽ ̄)

さて、大体この辺りに境界を引きます。

人力でひたすら掘ります。

この日の天気は異常で、晴れたり雨降ってきたりアラレが降ったり曇ったり......
そんなこんなしてる間に、水がたまり始めました。

掘って固めて、ようやく形になってきました。

完成(?)
出来上がったのはこういった湿地です。
一番奥に土手を作り、これ以上向こう側へ水が流れるのを防ぎます。土手の手前には少し深みを作り、水を溜めました。中央は浅い湿地帯になっています。
2今回見られた生き物について
湿地作成中に、環学連屈指の同定名人(Y氏)がここの生物相について調査してくれました。

・シッチコモリグモ

・ヒメアメンボ

・ケシカタビロアメンボの仲間(長翅型)

・ギンヤンマ

・マツモムシ

・ヒメガムシ

・ヨコエビの仲間
・ミズムシ

・ホソカの仲間

・コカゲロウ科の一種(サホコカゲロウ?)

・ツチガエル
・シオカラトンボ

・サワガニ
“今回見られた生物で自分が持知ってる範囲で指標性のある種はサワガニだけです。ミズムシに関しては綺麗な水にも少し汚い水にもいるので。他の種に関してはヨコエビやミズムシは落ち葉など分解するため、植物のある環境にいますがヒメアメンボ、ケシカタビロアメンボ、ギンヤンマ、マツモムシは植生のない環境でも見られる生物です。ただしヒメガムシは植生がある環境じゃないと見られません。
今回の着目点は福岡県準絶滅危惧に指定されているツチガエルが確認できたことです。ツチガエルは幼生(オタマジャクシ)のまま越冬するので、年中水があるところにしかいません。そのため中干しなど行う水田では生息できないのです。
八女市で湿地に生息する両生類は他にニホンヒキガエルやヤマアカガエル、トノサマガエル、アカハライモリがいますが山や林とは少し離れており、また棚田のため侵入しにくく上記の上から2種の産卵のためには来づらい環境です。
福岡県IB類のトノサマガエルがもし湿地に定着すればこれは凄い成果になると思います。福岡県レッドデータブックにも書かれてますが山間部の水路や湿田は水が途切れないので、アカハライモリ、ツチガエル、トノサマガエルが多く見られる環境だそうです。”
正確に分析してくださってます…...凄い!
湿地帯を作ろう!福岡編を主導している有明海支部だけでは同定するのにすら何日かかるのやら......。
環学連の学生のトレード体制が上手く機能してくれました!
3水路を作る

それでは二つ目の湿地帯作成に取り掛かります。ここも山側の石垣から水が染み出し、先ほどの場所ほどではありませんが、水捌けの悪い草むらになっています。
ここでは、石垣の下に水路を作ることで土地と湿地の共存を図ります。

ここからは先程まで生物調査をしていたY氏が参戦です。

おおぉ......

ここにいる環学連メンバーの誰よりも上手くクワを使い、がんがん掘り進んでいきます。

彼の活躍であっという間に完成しました!
五人いたのに半分以上彼が掘ったのではないだろうか(汗)

さて、細い水路と浅い湿地、今回は二つのタイプの湿地を作ってみました。
このままでは土手が崩れていったり、水が漏れたりしかねないので、土手の補強などまだまだ完成に向けた努力が必要ですね(汗)
初めての実験的な取り組み、この二つがどのように遷移していくのかデータを取りつつ要観察です!