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ぐぅが隣で一所懸命、目をこらして入力しているあいだ、俺はぐぅを休ませる手続きをした。
手続きっていうか、連絡というか。
何しろ怪しまれないように、自然に休ませなきゃならない。
隣の席ってのも、この場合は面倒なことなんだと気付いた。
なぜなら俺が担任に連絡するわけにいかないからだ。
これが一番簡単で確かなんだけど、それならなぜ本人や家族が連絡してこないのか、となる。
あいつが男子だと皆が知ってるならそれで済むのに、なまじ「女子」だと思われてるがゆえに、
迂回してあちこちに連絡をせねばならない。
まずはぐぅんちに連絡か。あいつ名前、成瀬薫だったよな?
でもいきなり俺がしたら「藤堂家の次期御当主御自らの御連絡とは、何がどうしたんでしょうか!?」となるかもしれないから、どうしようかなぁ。
× × × × × ×
朝のホームルーム。
当然隣は欠席だからいないんだけど、こんなにもつまらないものだっけ?
なんだか昨日から今朝にかけて、濃い…のとは違うな、でも色々ありすぎて、
なんだか全体的に景色が違って見える気がする。
さすがに朝ごはん食べたかな。
あいつ何食べたんだろう。そもそも、ちゃんと食べたんだろうな?
まさかあのまま朝ごはん抜き、とかしてないだろーな。
俺の部屋着なんか着ちゃってさ、可愛いやつ^^
ああいうのを江戸時代なら、「愛(う)い奴」って言うんだろう。
思い出して思わずニヤけそうになる。
兄が弟にそれ言うのって、江戸時代はありだけど、この現代だとどうなんだろうな~。
それにしてもぐぅはキス上手い気がするけど、あいつ…。
どこで誰と覚えたんだ?
そう思ったとき、スマホが震えた。
またかよ…。朝からなんだよ。
それぐらい、俺がいなくても会社で対処しろよな。
父上がいるだろうが。
内心ぶつくさ言いながら内ポケに手を入れる。
げっ、電話だ。しょうがないな。
「はい。…はい、俺です。…えっ!?何があったんですか?」
急いで俺は廊下に出た。
(続く)