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エレベーターに乗り、何気なくパネルを見て黙って驚く。

確かに大きなビルだけど、1、2、3…なんかずっとあるなぁ。

えっ、45階建てなの!?

しかも全部「藤堂グループ」みたいだから、ビル一棟全部、ててんちのかぁ~。凄いな。

 

俺、ててにあんなこと言ったりやったりしてたけど、実は超まずいんじゃ…(汗)

 

すると色んな光景や感触が脳裏や手、唇に蘇り、慌てて咳払いをする。

まずいまずい、こんなときに何してんだよ、俺!(汗)

 

運転手さんの後ろで冷や汗をかきながら、刻々と進むパネルを眺める。

 

最上階に着くと廊下に吐き出される。

他で呼ばれていたのか、あっという間にエレベーターは下がっていった。

運転手さんと2人、ぽつんと取り残された感が凄い。

 

「会議室までご案内致します」

 

廊下を歩きながら、ちょっと不思議だなと思う。

それはビルに入った途端からいろんな人たちとすれ違ったり目があったりしたけど、

どの人も全員、僕に丁寧にお辞儀することだ。

お客だとしても普通はせいぜいが会釈や目礼ぐらいじゃないかな。

そうじゃなく、ちゃんと丁寧にお辞儀して…

 

たぶん全員かな?立ち止まってお辞儀していた。

 

これでも僕は直参の若殿なので、小笠原流の礼法を一応知っているからわかるけど、

あれは立礼のなかでも一番丁寧なお辞儀だ。

あのぶんだと恐らく、座礼なら座礼で9種類全部、どの人もみんな出来るのかもしれない。

 

そんなことを考えてるうちに、ドアの前に着いた。

 

運転手さんがノックするとすぐ内側から開き、彼は中の人とちょっと話したかと思うと、僕を手招きした。

 

軽く一礼して中に入って…

 

僕は軽く怯(ひる)んだ。

思わず運転手さんを振り返ったけど、彼は頭を下げるなりドアを閉めてしまった。

 

 

 

 

 

(続く)