あるとき、


クリーニング屋で、間違ったワイシャツをわたされたことがある。


破れだらけ、擦り切れだらけの、


綿のワイシャツだった。


ぼくのは、普通のワイシャツ。



証拠に、ぼろのワイシャツをとっておけばよかったのに。


あんまり腹がたって。



擦り切れだらけのワイシャツをそのまま、ぶんなげて


クリーニング屋に、その事を言いにいった。



クリーニング屋いわく、そっちのお客さんは、「1万円もする高い高級なワイシャツだった」と


言っていると言い出した。




あんまり腹がたち。


こっちのワイシャツをふたつ、ひきとりもしないで


怒ってかえってきた。


もう3年も前だ。



先日、そのクリーニング屋の前を、よそいきの服をきて


歩いた。


そのクリーニング屋が、でてきて・プリプリおこりだした。



ははーん。


ぼくは、擦り切れだらけのワイシャツをぶん投げて。


証拠がないのを良いことに。



敵は、あのクリーニング屋から1万円もかつあげして。


ぼくのせいにしていたなと、いまさら感づいた。



油断もすきもない、東京。



    by ari_back