皆まで言うな | 悪態のプログラマ

悪態のプログラマ

とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

新人プログラマに仕事をしてもらう時に悩むことがある。それは、技術的な内容について、どこまで細かく指示するかということだ。経験のあるプログラマなら、仕様を伝えるだけで済むところでも、初心者プログラマの場合には、実装方法(プログラムを書く際の細かい設計)まで教えてやらなければならないことも多い。

とにかく早く仕事を片付けたいなら、具体的な実装方法をズバリ教えてやった方がよい。彼ら自身に考えさせていたら、いつできるか分からないし、不適切なものができて、作り直しが発生するリスクも高いからだ。

しかし、教育という観点では、簡単に「答え」を教えないほうがいい。プログラミングでは、ソースコードを書くことよりも、実装方法を考えることの方が重要だからだ。初心者には、少しでも多く、その「考える」という経験を積んでもらう必要がある。


具体的にどこまで教えるかということは、個人の能力や仕事の内容、プロジェクトの状態にもよるので、一概には言えない。実装の方針だけを伝えて細部は考えさせる、あるいは、あらかじめ関数やクラスの「枠」だけを作ってやってから中の処理を実装させる、というように、中間的な指示を出すことが多いだろうか。スケジュールに全く余裕がないときには、実装方法自体を教えることもあるが、そのときには、なぜそのような実装が良いのかということも、同時に教えてやる必要がある。

新人に指示を出すリーダー的な立場の人はもちろんだが、彼らから技術的な質問をされる周囲の先輩達も、彼らの勉強のために、こうした「気遣い」をしてやったほうがいいだろう。


一方で、新人の側としては、常にそうした教育的指導が行われることを期待してはいけない。短納期、人手不足のプロジェクトが多い中、社員教育よりも開発効率やリスク回避を優先せざるをえないという現実もある。

誰かに質問をして、答えを教えてもらった場合でも、どうしたらその答えに到達できるのか、ということは必ず確認すべきだ。そして、自分だけでその答えに到達できなかったのはなぜか、ということもよく考えてみることである。





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