ファイラのすすめ | 悪態のプログラマ

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とある職業プログラマの悪態を綴る。
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ファイルをコピーしたり、移動したり、削除したりするときにどうするだろうか? Windows ユーザーの多くは、「エクスプローラ」を使うだろう(※1)。

しかし、ファイルの操作をするためのソフトウェアは、エクスプローラだけではない。「ファイラ」と呼ばれるジャンルのソフトは、それ以上の操作性と機能を提供してくれるものである。

今週の「IT」のトラックバックテーマは「おすすめフリーソフト情報 」である。この機会に、「ファイラ」というソフトを使ったことのない人に、おすすめしたいと思う。


パソコンを効率的に操作するコツは、「なるべくマウスではなくキーボードを使う」ということである。また、マウスによるドラッグ等の操作には、ミスが起こりやすいという問題もある。

しかし、キーボードを主体でパソコンを使う場合、エクスプローラは必ずしも使いやすいソフトではない。マウスでの操作性を重視した設計であるため、キーボードでは効率的な操作ができないのだ。

そこで、ファイラというソフトを使うわけである。日本のファイラには、キーボードでの使い勝手を重視した、伝統的な操作方法がある。

その方法を広めたのは、A.Idei 氏が作成した「FD 」という MS-DOS 用のファイラである。

FD は、画面に1つのフォルダ(ディレクトリ)の中にあるファイルの名前を一覧表示する。ユーザーは、その中からいくつかのファイルを選んで、1つのキーを押す。例えば、コピーしたければ「C」、移動したければ「M」、削除したければ「D」といったキーを押すことになる。コピー先や移動先のフォルダは、キーを押した後に開いたダイアログで入力する。

実際に使ってみると分かるが、このシンプルな操作方法は非常に効率的である(※2)。Windows 全盛期となった今では、特殊な操作方法のようになってしまったが、慣れてしまえば、手放せない魅力がある。

現在の Windows 用のファイラにも、この「FD 方式」の操作方法を採用しているものが幾つもあるので、そうしたものの中から選ぶことをおすすめする。


ファイラを使うメリットは、キーボードによる操作性の向上だけではない。

多くのファイラは、ファイル操作だけでなく、様々な付加的な機能を持つものが多い。例えば、テキストファイルの内容表示、バイナリファイルのダンプ、ファイルの圧縮や解凍、画像の表示、音楽の再生、FTP クライアント機能などである。

それぞれの機能だけ見れば、専用のソフトほど多機能というわけにはいかないが、平素の利用には十分である。

むしろ、いくつもソフトを立ち上げて、ウインドウを切り替えながら使うよりも、ひとつのファイラだけで処理できたほうが、効率的な場合が多い。特に、FD 系のファイラなら、こうした付加機能も、なるべく「1つのキー」で操作できるようになっているのである。

ファイラを選ぶ場合には、どのような付加的な機能があるかということも、考慮するといいだろう。


プログラマに限らず、パソコンを使って働く者は、ファイル操作のような頻繁に行う作業の効率化を考えるべきである。例えば、いくらタイピングが速くなっても、それはパソコン操作の中の一部でしかない。その他の操作が遅ければ、作業の効率化にも限界があるということだ。

良いファイラと出会うことができれば、そうした限界を飛び越えることが出来るだろう。

Vector などを探せば、無料で使えるものが沢山ある。なるべく多くのものを使ってみて、自分に合ったものを探すといいだろう(※3)。

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※1
例えば、「マイコンピュータから何かのフォルダを開き、アイコンをデスクトップにドラッグする」といった操作も、エクスプローラを使っていることになる。エクスプローラは、Windows という OS の目に見える部分を管理するソフト(ビジュアル・シェル)である。つまり、Windows の一部であり、あまりにも当たり前に存在している。このため、ファイルを操作しようとする場合に、他の手段を探そうという人も少ないのだろう。

※2
FD が生まれた頃のパソコンにはマウスが付属していないのが普通で、ほとんどのソフトがキーボードで操作するように出来ていた。キーボードによる操作が効率的なのは当然ではある。

※3
参考までに私のお奨めを書くならば、「だいなファイラー (DYNA) 」、「あふ (Afx) 」、「Double Window 」、「wiro the file manager 」といった「2画面ファイラ」である。

普通の「1画面」のファイラでは、ファイルのコピーや移動の際は、キーを押した後でコピー先や移動先のフォルダを指定する必要がある。しかし、2画面ファイラでは、「元」と「先」のフォルダを同時に開くことができ、キー押下1つでコピーや移動を行うことができ、更に効率的なのである。



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