中東アラブの高級車放置あれこれ、ドバイによくある話。
さて、ときどき報じられるのが路上などに捨てられた、もしくは放置されているスーパーカーこういった現象が見られるのは中東アラブの主にドバイに多く、
中には「F1マシンが放置されている」例もあったりする。
フェラーリ・エンツォ、ブガッティ・ヴェイロン、ジャガーXJ220、ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ、ポルシェ918スパイダーといった希少な車から、
日産GT-Rといった人気のクルマ、さらにはトヨタF1マシンまでが放置車両がある。
ドバイというとお金が溢れているという印象だけど実はドバイそのものからは石油が殆ど出ず、ドバイの収益は貿易と金融と商業に頼ってるんですよね。
ただ、その周辺にはアブダビのようにガスや石油が豊富に出る国があったり、そういった国の投資を得てドバイは活動しているわけです。
投資を得るからにはリターンを返す必要があり、そのためにドバイは各種税金を低く設定したり、各種関税を撤廃することで外資系企業や富裕層を招致したり、ブルジュ・ハリファ、屋内人工スキー場のような「規格外の」施設を作ることで観光客をも呼び寄せているわけです。
そうなるとドバイに人とお金が集まることになり、観光客が落としたお金、ドバイでの経済活動によって生み出されたお金によってドバイは潤い、投資者に対してリターンを返すことが可能なのだとか。
ドバイの人口のうち、ドバイ以外から来た人の割合は97%とずば抜けて高く、人種の坩堝といわれるニューヨークの37%とは比較にならない数字。
つまり、ドバイはそれだけ「お金のある人」「お金を求めている人」にとって魅力的ということになります。
ドバイは消費活動を促進させてお金を回すという考え方を持っているので、家や高級品、クルマを購入するための「ローン」がかなり借りやすいのだそう。
そしてドバイに集まった人々はもともとそういったモノが好きな人が多いと考えられ、「ガンガン借りてガンガン買う」ということに。そしてここまでだと何も問題はないらしいが問題となるのは「何かあった時」。
たとえばかつてのリーマンショックや今回のコロナウイルスのパンデミックのように、世界経済が減速した時に大きく影響を受けるのがドバイの経済構造。
つまり、貿易や金融、商業いずれも大きなダメージを受け、ここは農業とか工業はたまた石油といった、物理的ななにかを生み出している国とは大きく異るところで
ドバイの経済がそれら外的な不況にあおられると、ドバイの外部から来た97%の人々は仕事を失ってしまい、そうなれば借りまくっていた人たち。お金を返せなくなることになるんです。
他の国だと、お金を返せなくなれば担保を差し出して支払いをチャラにしたり、なんらかの減免措置を取ることができる場合もあるものの、ドバイだと「支払いが遅れる=(購入したものを)売り主から盗んだ」のと同じ扱いになり、なんと即刑務所送りとなるのだそう。
つまり中東アラブ諸国、ドバイでは盗みは重罪となるわけですよ。
これは厳しいイスラムの戒律シャリア法によって定められる鉄則であり、何人たりとも逃れることは不可らしい。
そしてこの法に縛られるのは、ドバイにいる限りは外国人であっても同じことで、これは何人たりとも「公の場所で飲酒してはならない」「公の場所で異性と親しくしてはならない」のと同じだと考えられます。
中東では「盗みは重罪」
ちなみにドバイというか中東では”盗み”に対して非常に厳しく、他人のモノを絶対に盗ってはならないという意識が根付いる。
アブダビのモスクを訪れた人のエピソードでその際、中に入るのに靴を脱ぐ必要があったけれど、どこもカギや蓋のついたロッカーがあるわけではなく、簡単な棚に入れるか、そこに入らなければ地面に放置する必要があったわけです。そこで、「え?ボクの靴グッチよ?盗られたらちょっと困るな・・・」と考えちゃう。
その様子を見た警備の人が「ここでは誰も人のものを盗む人はいない」と言ってくれたので、そのまま靴を放置してモスクに入り靴を脱いだとしても、持って入ることはできないわけです。結果としてやはり盗まれずにそのまま置かれていたというエピソード話。
同様に、何かを持ち込むことができず、公共スペースに自分の荷物を放置しなければならないことも何度かあったものの、いずれも荷物は無事であり、どうやら本当にドバイでは盗みがないらしい。
それだけ罰則が厳しいので、盗みは割に合わないそういった中東ならではの事情もあって、「ローンの支払いが遅れる=買ったモノを盗んだ」ということになって即刻刑務所送りになり、ここで登場するのが「国外逃亡」という選択肢。
スーパーカーや高級車を捨てて国外に逃げ、二度と戻ってこなければ刑務所送りを免れることができ、そのために「新車状態の高級車」や「カギがついたままのスーパーカー」が放置されることになるそうだ。
これもまさに外国からの居住者が97%を占めるドバイならではの背景による現象なんだとか。
そして放置された車両は警察が回収することになるものの、法律によってすぐに移動させることができず、これも他人の財産を尊重するという考え方なのかも、ときには数ヶ月放置することになり、これが砂ぼこりを被ったスーパーカーが路上や砂漠に放置されている理由なのだそう。
そこで気になるのが、ドバイに放置されている、こういったスーパーカーを買うことができるのか。
答えはイエスですが、「難しい」という但し書きがつくようです。
というのも、これら放置車両は支払いに困って持ち主が捨てたものであり、よってまだ残債が残っているわけですね。
そして残債を払い切るまで所有権は銀行や信販会社にあり、よってこれをクリーンにしない限りは所有権を移転できず、名義変更も輸出もできないということに。
なお、一部は他の国でも見られるように警察用車両に転用されることになる事もあるとか。
これがドバイのパトカーにはスーパーカーや高級車が多い理由でもあるようですね。