こんにちは。
おかげさまで、過去記事の「スクール1」に興味をもっていただいたというコメントをいただきました。ありがとうございます。せっかくなので、そのとき学んだことの続きをお話したいと思います。
インタースクールというその通訳学校では(以下、インター)、会議通訳コースに入り、入学時にプレイスメンステストを受けて、今でいうところの本科Ⅰに在籍していました。インターは専修コースⅠ・Ⅱ・Ⅲと本科Ⅰ~Ⅳというコースが準備されています。専修の方は体感的に英検準1級くらい、本科は1級以上に相当しているように思います。自分は平日の昼クラス週2回のプランで通いました。当時、だいたい1クラス10人前後いたように思います。ほぼ全員、なんとか英語で身を立てたいと最後のチャンスにかけて踏ん張る30代の女性でした。どの先生に師事するかは悩みどころです。人気講師のクラスは人数が多く、しかも古参の人が多いので、先生に存在を覚えてもらうには時間がかかるという欠点があります。一度師事した先生は恩師になりますから、あの先生この先生とショッピングするようでは失礼にあたります。自分は最終的に、国内学習で通訳になった先生にお願いしました。
入学すると、まず授業や宿題を通じて、通訳トレーニングの方法を学ぶことになります。何年か在籍すると、4月はそういう生徒さんに説明するために授業がスピードダウンするので「もう分かっているのにまた初歩か!」と思うことになりますが、最初は初めてですからたいへんです。教材はどのクラスも同じもの、多くは実際の現場で使われたもので許可のとれたものを共通で使います。進め方やスキルの比重のかけ方は先生の進め方によって変わります。目標は、タームの終わりに行われる試験に合格し、次の段階に上がることです。だいたい、平日週2回のクラスで上に上がる人は、半期に一人いるかいないかでした。クラスの平均的な生徒よりアウトプットの質もスピードも高くなると、次はあの人だな、と予想がつくようになります。
授業では、「単語テスト」と「通訳トレーニング」をおこないました。「単語」はジャンル別 トレンド日米表現辞典という辞典から、一週につき1ジャンルを範囲とするテストがありました。最初の半期はたいへんですが、通ううちにサイクルがまわるので負担は軽減します。「トレーニング」に関しては、先生が音声教材を区切って流していくので、その区切りまでを口頭で英訳します。受講生は音声をメモにとり、それをもとに訳出していきます。自分の通っていた科では、ひとり1文ずつで流していったおぼえがあります。英和も和英もやりますが、英和は聞きとれていることは前提です。和英では四苦八苦して産出した英語を、先生が口頭で気になるフレーズを適切なフレーズに直します。できない場合は、順番をとばす先生と訳出をお手伝いいただける先生がいました。1回あたりのレッスンで3~4回当たるのですが、とばされると、「まわりと比較してできない子」というプライドの傷つきと、「あんなに高いお月謝を払ったのに、ただのオブザーバー」という切ない感じがしたものです。
英検やTOEICで高得点であまり話せない人はここが辛いと思います。でも、ここで踏んばって、周りの人に負けないように猛勉強することで力がついてくるのです。ほとんどの人は仕事はせず、スクールのない日に、将来の夢に向けて持てる時間をすべて勉強に注ぎます。超絶ヒートアップします。ここででよく聞いたのは「睡眠不足自慢」です。朝4時に起きて勉強した、8時間ずっとシャドーイングしていた、などです。通っただけで英語力が上がるというのは、たぶん、どこに行ってもないと思います。本気で取り組まないとやりきれない課題を、だいたい同レベルの人と切磋琢磨して勉強することで、英語力はぐんとのびます。前述の、クラスが上がる人は、学期中に目に見えて実力を伸ばします。そういう人に「最近すごいですね、どうやって勉強しているんですか」などと質問しながら、自宅学習スキルを上げていくのです。
あまりのプレッシャーに、別の通訳学校であるサイマルに見学に行き、コングレには半期通ったもののどうも手ぬるく感じてまた戻ったこともありました。かつて同じ英検1級のお教室に通っていた生徒さんのなかには通訳訓練に NHK国際研修室 に行った人もいましたが、そちらは3期で段階が上がらないと放校になると言っていました。期限の切られたそちらの白熱度はインター以上だったのではないかと察します。
話をもどします、クラスに通ううちに、クラスでのパフォーマンスもそれなりに上達しました。入ったころは、海外で10年仕事をしていた人とか、駐在妻7年のような方々に気持ちで負けるのですが、英語力と通訳のスキルは異なることが分かってきます。自分のレベルでは、流暢に話せても、1文を完全文で話せる人は少ないと感じました。この、文法の足場がしっかりしている点が国内学習組の強みだと思います。通訳は、一瞬の判断で口にした主語から、言い直しせずに1文を完成させていかなければなりません。どんな主語から始めても文にできるのは文法力です。気持ちが優先するコミュニケーション英語や目標達成のため別の言い方をしてもいい自分が発話するビジネス英語とはこの点が異なると思います。
さて、そこまで通って、結局、通訳の仕事の端くれにはつけたのかと結論を急ぐ方もいるでしょう。端的にいうと、つきませんでした。スクールの廊下にはレベルごとに紹介される派遣のお仕事が張り出されていて、タイミングがよければよいポジションに出会う機会もあったのでしょうが、それとは別に、学費を払うために始めた、英語をちょっと使うアルバイトにはまってしまい、それはそれでいいかと自分に整理をつけたのです。
見切りをつけたいくつかの理由のひとつには、通訳コースの英語が専門的すぎて、結局これは使えない英語の部類ではないのかと疑問をいだきはじめたのもありました。仕事に通訳レベルの英語が必要ではないことが明らかになったので、少し英語をゆたかにする方向に転換したいなと思うようになりました。そこで、 フィニックス英語学院 という、ドラマを通して英語を学ぶ学校に変わることにしました。結果的に言うと、ここでした経験はその後の人生を変えるに匹敵しました。これもまた、ぜひ別の機会に話を聞いていただければと思います。
以上が通訳学校に関することで思い出せることになります。通訳コースで学んだのは、英語の自学スキルだったと思います。そういえば、当時、土曜日に学校とは別に、その前に通っていたジオスの仲間と自主勉強会をしていて、その教材の準備と進行の役割をやっていたのを思い出しました。最寄りの駅の喫茶店で、ポータブルCDを音源にインターでおこなっていた通訳トレーニングとまったく同じことをしてました。やり方さえ分かれば、都内まで勉強にいかなくても通訳の勉強はできるし、そのレベルまで高めることはできるという結論で本日はまとめたいと思います。