まるで喉奥に刺さった小骨。 

 

我々拳闘支持者が歯がゆさを感じ続けている出来事。 

 

昨年10月サウジアラビア(リアド)で行われたタイソン・フューリーEXフランシス・ガヌー。 

 

現在ヘビー級トップに君臨するフューリーが「ボクシングデビュー」の UFCファイター、フランシス・ガヌーにダウンを奪われるという拙戦を演じてしまった。 

 

このボクシング界の汚点とも言うべき失態。 

 

素直にガヌーを称えるべきだが、オイルマネーに目が眩んだWBCは何とガヌーに世界ランクを与える始末。 

 

このような悪政を見ると素直になれないな。 

 

また抜け目ないサウジはガヌーに何と元世界王者アンソニー・ジョシュアをぶつけた。 

 

心身ともに意外な脆さを露呈してしまうジョシュアに基本失う物がないガヌー。 

 

ボクシングの威信をかけた一戦。 

 

1R、ガヌーは低い体勢&広いスタンス。

ワイドガードで長いリーチを有効に使うスタイル。 

 

対するジョシュアは右ガード固め、冷静に左を突く。 

その左をボディーに入れるという好戦法。 

 

ガヌーのファーストアタックにも冷静に対応。 

 

ジョシュアはフェイントを入れ左。 

 

流れを変えるべくガヌーはサウスポーへシフト。 

 

そこへジョシュアの右ストレート一閃。 

 

モロに食らったガヌーは痛烈なダウン。ダメージ深いが何とか再開に応じ、一気に行かないジョシュア戦法も有り、ゴングへ逃げ込む。 

 

このダウンでもう勝負はついた。 結果的にはあのスイッチが裏目に出てしまった。

 

10-8ジョシュア 

 

 

2R、ダメージ引きずるガヌーだが、ジョシュアはあくまでも冷静に左。 

 

更に相手パンチを瞬時に躱し、踏み込み右ストレート。 

 

もう完全に右のタイミングはつかんでいる。 

 

そして見事な右クロスでガヌーを再びキャンバスへ。 

 

主審は止めずに続行、再開後ファーストコンタクトでジョシュアが右ストレートでガヌーのアゴを打ち抜くと、ガヌーは右ひざを折り倒れる痛烈なダウン。

 

即座に試合は止められた(2分38秒TKO) 

試合結果だけを見て「UFCがボクシングルールでやればこんなもの」とは言いたくない。 

 

ガヌーは粗削りで技術的には厳しいが、鍛え抜かれたフィジカルを有した危険なパンチの持ち主だった。 

 

ボクシング界に一石と投じたパフォーマンスは歴史に残る。 

 

ジョシュアは五輪金メダリストとしての技術とキラー・ジョシュアの顔を見せた見事なパフォーマンス。


勝負決着後の立ちふるまいも威厳を感じさせ、良かった。 

 

フィニッシュの右ストレートは「2024年度の最高KO」の最有力候補の一つとなる。 

 

ガヌーのお陰でジョシュアも仕上げてきた。ボクシング界に一石を投じたガヌーに感謝したい。

 

リングサイドで観戦していたタイソン・フューリーとの英国ダービーも楽しみだが、フューリーはウシクとの大一番を控えている。 

 

フューリーが勝てばこの英国ダービーはとてつもない規模の対決となろう。 

 

ウシク戦に向けてフューリーのモチベも上がりそうなジョシュアの完勝劇だった。