両国国技館で行われた三大世界戦観戦。 

 

WBO世界スーパーフライ級王座決定戦 

 

田中恒成VSクリスチャン・バカセグア(メキシコ) 

 

中谷潤人が返上した王座を1位田中と2位バカセグアが争う。 

 

試合前見た映像から田中のKO奪取を予想したが、やはり世界タイトルを前にバカセグアもタフネスを発揮し、判定勝負まで持ち込んだ。 

 

ただし両者の間には圧倒的なスピードと技術の差が存在し、田中の完勝だった。 

 

スタートから田中は動きが良く繰り出すジャブも速く好調。 

 

対しバカセグアも重そうなパンチを積極的に振り回す。 

 

2Rは互いにボディーを放ち合ったが、バカセグアのラウンドだった。 

 

ただ井岡戦敗退後、ディフェンスへの意識に重きを置き始めた田中は冷静だった。 

 

やや半身に構え上体の動きで相手パンチを躱し、持ち前のサイドの動きからの左ボディー。 

 

終始安心して観ていられた。 

8Rにはこの試合唯一のカウント(左レバーから畳み掛け)を奪い完勝し、4階級制覇を達成。 

 

スコアは119-109、117-111、116-112。意外に接近していたという印象。※自分は118-110で田中。 

 

以前の本能の赴くまま過度な打ち合いも敢行していた田中より、圧倒的に安定感がある。 

 

無冠時代が無駄ではなかった田中の今後が楽しみだ。 

 

 

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 

中谷潤人VSアレハンドロ・サンティアゴ (メキシコ)

 

正に圧巻の戴冠劇だった。 

 

開始から中谷は広いスタンスで腰を落とし、右を突く。 

 

半身まで駆使した中谷の間合いは、サンティアゴからすると絶望的に遠く、自身の距離に全く入れない。 

 

中谷は右を使い、また効果的だった逆ワンツーを飛ばし、正に完封ペース。 

 

4R終了時の公開採点で3者共40-36。 

 

当然サンティアゴもなりふり構わず出るしかないが、本来のスタイルとは違う飛び込み。 

 

中谷のカウンターの格好の的。 

 

6R、物凄いシーンが訪れた。 

 

中谷のロングレンジから左ストレートがサンティアゴを捉えると後方に吹っ飛ぶように王者がダウン。 

 

ダメージも深くこのパンチで試合は決まった。 

 

追撃の連打で二度目のダウンを奪った中谷が6R1:12TKOで見事三階級制覇。 

あの左は右アッパーをブラインド的に使う頭脳的な一撃。 

 

減量は未だ苦しいだろうが、「地獄」から解放された中谷のコンディションは良かった。 

 

遂に「ネクストモンスター」本領発揮。 

 

早くもこのクラスに敵がいないのでは?とも思わせる圧倒劇。 

 

井上尚弥と中谷潤人。彼らが交わる日は来るのだろうか? 

 

 

WBA世界バンタム級タイトルマッチ 

 

井上拓真VSジェルウィン・アンカハス(比国)

 

拓真のテーマはとにかく強気。 

 

強敵アンカハスに一歩も引いてはならない事。 

 

それを見事に実践して見せた。 

 

開始から足を踏ん張りミドルレンジで対峙。 

 

前半強いアンカハス相手に積極的に手を出し対抗。 

 

強気にカウンターも飛ばした。 

 

驚いたのは4R、クロスレンジでアンカハス相手に一歩も引かずに打ち合い実行。 

 

拓真がここまで打ち合いを見せたのは記憶にないが、この打ち合いはアンカハスも前の手を器用に使いポイントを奪う。 

 

5R以降も拓真はサイドへの動きと持ち前のアジリティを活かし、攻撃を止めない。 

 

アンカハスの口が開く時間が長くなる。 

 

8Rアンカハスも意地で前へ出ていくが、スタミナ渇水気味。 

 

9R、拓真の右ボディーがレバー付近を捉えるとアンカハスは座り込み、10カウントを聴いた(9R0:44KO) 

 

拓真はキャンバスへグラブを打ち付け喜びを表す(その昔の蔵前国技館でのサパタを思い出すシーン) 

 

間違いなく拓真のベストファイト。 

拓真が遂に覚醒! 

 

この内容なら噂される5月東京ドーム兄弟共演も可能かも? 

 

自分は試合前拓真陥落を予想したが、見事に大外れ。 

 

拓真の出来に脱帽だ。