元東洋太平洋王者中谷正義が引退表明。
吉野との国内頂上決戦に敗れ予想はしていたが、いざ正式にニュースを聞くと寂しさを覚える。
中谷正義。
規格外のフレームを有し、東洋圏では無双。
OPBF王座を11度も守ったが、アマ時代は決してトップクラスではなく、努力型の選手と言える。
大阪時代は前途の様にOPBF王座を11度防衛、その勢いそのままに勝負に出た。
2019年7月米国で当時飛ぶ鳥を落とす勢いのプロスペクト、テオフィモ・ロペスと対決。
結果は大きな点差が付く判定負けだったが、その恐るべきタフさと精神力でテオフィモの心を折りかけた。
試合後テオフィモは涙を流していたという。
この敗戦で一時引退を表明をしたが、環境を変え帝拳ジムで再起動。
初戦でスラッガー、フェリックス・ベルデホを逆転KOし、何とあのワシル・ロマチェンコ戦までたどり着いた。
2021年6月に実現したこの一戦は、日本人選手が世界的名選手と対決した中でもベスト10に入っても不思議ではないカードだった(相手のピークと自身の立ち位置を加味し、総合的に)
結果は完敗だったが、生中継を見守ったあの高揚感。
中谷には感謝しかない。
強気路線敢行の中谷は吉野修一郎に敗れ、グローブを吊るすこととなったが、テオフィモ、ベルデホ、ロマチェンコとの三番勝負はそれこそ勲章だ。
長すぎたOPBF王者期間を嘆くファンもいるかもしれないが、狙っていたのはライト級。
おいそれと世界戦が実現するわけでもない。
この期間に培った地力がテオフィモ、ベルデホ戦で「花開いた」と思う。
本当にお疲れさまでした。
中谷正義:20勝(14KO)3敗
獲得タイトル:東洋太平洋ライト級王座(11度防衛)、WBOインターコンチネンタルライト級王座