興奮冷めやまぬ痛烈な井上尚弥KO劇

 

この井上キャリアハイと思われる試合で感じたことを散文。

 

自分の井上尚弥試合ベストは、永い間オマール・ナルバエス戦だった(2014年12月)。

 

当時井上は21歳の若武者。過酷な減量から開放され、フルスロットル。

 

余りの強打に自身右拳も破壊(中指骨脱臼)され、1年間のブランクを作ってしまったほど。

 

もうリミッターを完全に外す井上は見ることが出来ない為、自他ともにこのナルバエス戦がベストと言うのが定説だった。

 

次点となると2020年10月のジェイソン・モロニー戦。

 

実はこの試合井上の足が攣るというアクシデントが有ったらしいが、フィニッシュに至るまでの経緯が素晴らしく自分が好きな試合。

 

フィニッシュパンチも素晴らしかった。

 

ただ7日のドネア戦はこの二つの作品をも超えていた。

 

1Rの右カウンターも井上の過去ベストに近いパンチ。

 

その後の詰めが非常に理想的。

 

井上の数少ない気になる点。これは強みでもあるのだが、チャンス時にやや感情に逸り冷静さを失う事。

 

井上自身は相手のダメージや力量を鑑みて、スパークしているのだろうがマクドネル戦などオープンガードの連打はややリスクを感じる。

 

ただ今回は従来と違う思考回路でドネアを仕留めた。

 

1Rに決定的はダメージを与えたが、ドネアの捨て身攻撃を想定し、クールに対峙。

 

左フックでたたらを履ませた後に、フィニッシュするという理詰め戦法。

 

井上にこれをやられたら誰も勝てない。

 

昔から自分が思っているのは、井上の最終形は往年のマイキー・ガルシアの様な無理をしない戦法。

 

それでも井上の技術、パワーならKO量産可能。

 

決して井上はパワーだけの選手ではなく、堅実な防御、素早いポジショニング(直ぐに強いパンチを打てる距離体勢に身を置ける)。

 

そして何よりもフルパワーパンチを迷いなく繰り出せる強固な意思。この思考が一番の武器だと思っている。

 

是非最終目標と思われるフェザー級でそのスタイルを完成させて欲しい。

 

ところで驚いたことにドネア再戦を前にあわや試合延期をも過る「怪我」を抱えていたらしい。

 

故障部位は明らかにされていないが、レイジェス製グローブでドネアのテンプル部をハードヒットしていた為、拳ではないだろう。

 

詳細は不明だが、ドネア戦で被弾もなく2R決着。是非完全体へと休息時間を設けて欲しい。

 

12月に国内で予定されるポール・バトラー戦も両者の力は大きく開いており、何の問題もない。

 

遂に日本人ボクサーがPFP NO.1に輝く時が来た。

 

自分はこの空前絶後の栄誉に充分値する内容だったと高くドネアⅡ戦を評価したい。

 

間違いなく今回のドネア戦は、井上のキャリアベストである。

 

殿堂入り間違いなしの5階級制覇王者相手に自己最高試合を演じるとは、何と形容したら良いのか・・・。