1990年7月29日 米国アリゾナ州・フェニックス アリゾナ退役軍人記念コロシアム
IBF世界ジュニアフライ級タイトルマッチ
王者:ムアンチャイ・キティセカム(タイ)11勝(7KO) 21歳 ※3度防衛中
挑戦者:マイケル・カルバハル:13勝(8KO) 23歳
1R、後にフライ級をも制する王者・ムアンチャイのフレームが一回り大きい。
リラックスした構えから左を伸ばすカルバハルに対し、ムアンチャイはトップスピードで左を突いていく。
スタイル的には柔と剛
カルバハルは身体の柔らかさを利して伸びる右から左フックの返しを好打。更に右。
ムアンチャイも独特のリズムから攻め続けるが、ゴング前にカルバハルがコンビ当てる。
10-9カルバハル
2R、左の差し合いはカルバハルと思いきや、ムアンチャイが堅い左からワンツー、左フック、アッパーで攻め入る。
カルバハルもたじろいだが、持ち前の気の強さで正面から打ち返す。
身体の柔らかさを利した攻撃、ロングとショートの打ち分けとエキサイティングな場面でも冷静だ。
後半も強気に攻めてくるムアンチャイにカルバハルのカウンターが襲うが、実に強気な王者。
ただカルバハルの右ストレートからの左フックがヒットし、一気にロープに詰め凄いコンビネーション。
このスラッガースタイル。ジュニアフライの試合とは思えない。
10-9カルバハル
3R、前のラウンドからカルバハルはボディー攻め。
ムアンチャイもややディフェンシブに過ごす。
カルバハルの技術は高い。左ジャブのタイミングでフック。ムアンチャイは対応できない。
それなりのアクションが有ったが、相対的にはやや大人しいラウンド。
10-9カルバハル
4R、ムアンチャイは、アップライト且つその場に立ち止まってのジャブの為、リーチ以上には伸びない。
身体を利するカルバハルが差し合いでは完全に上。
技術では勝てないムアンチャイが強引に出てくる。カルバハルのカウンターを痛打されるが、止まらない。
まるでゾンビも思わせるタフネスぶりだが、2分30秒過ぎ、カルバハルの右打ち下しから左フックを食らいダウン。
残り時間少ないが、猛然と出ていき右ストレートでフッ飛ばしダウンを追加。
これは文字通り金がとれる選手だ。
10-7カルバハル
5R、スタートから再三の強打でムアンチャイにたたらを踏ませるカルバハル。
左フックでムアンチャイはロープへ飛ばされるが、何と猛然と反撃。
この攻めを柔らかい身体とガードで対応し、冷静に左でリセットするカルバハル。
10-9カルバハル
6R、カルバハルは冷静に左と足で入って来るムアンチャイにカウンター攻撃。
ただこの展開では、前へ出ると強いムアンチャイ。再三怖いパンチをカルバハルに当て、上下にパンチを放つ。
二度ダウンを喫した選手とは思えない程、攻撃力が有る。
しかし技術で上回るカルバハルは余裕が有ったのだろう。終盤右カウンターでこの試合3度目のダウンを奪う。
毎回起き上がり小法師の様に立ち上がったが、ゴング迄カルバハルの追撃を浴び続ける。
現代なら当然ストップが入るだろう。
10-8カルバハル
7R、開始早々カルバハルの左アッパーでムアンチャイはロープへ下がり、追撃の右を食らいダウン。
主審(ロバート・フェラーラ)が即座に試合を止めた。
(7R0:14TKO)
カルバハルが14戦目で世界に駆け上がった。文字通り米国にライトフライ級の革命を起こした試合。
ボブ・アラムの下、後に文字通りのミリオンダラーファイターとなったが、正に金が獲れる選手。
※ムアンチャイ戦は、王者の半分 7.5万ドルの報酬。
カルバハルのスタイルは軽量級のそれではないスラッガータイプ。
その後も同クラスにカルバハルほどのインパクトの有る選手はいない。
カルバハルに勝てるアジア選手は張正九位だろう。
※具志堅はこの手の選手とは相性が悪そうだ。
ライトフライ級史上最強のパンチャー・カルバハル。
自分も好きなスタイルの選手だった。
一方王座を奪われたムアンチャイも半年後に同国人のソット・チタラダからフライ級王座を獲得。見事二階級制覇を果たした強豪。
強打と強気の攻めが印象に残る選手だった。
今度カルバハルと具志堅。どちらがクラス最強のパンチャーか記してみます!
