1987年1月12日 日本フェザー級王座決定戦

 

杉谷満VS飯泉健二。

1位:飯泉12勝(10KO)1敗 19歳

2位:杉谷20勝(14KO)2敗 22歳

 

自身の持っていた日本王座を来馬に奪われた杉谷(1986年8月)。

 

その来馬が東洋太平洋王座に挑戦し失敗し、引退表明の為、空位になった王座を1位飯泉健二との間で争った。

 

下馬評では杉谷のキャリアか飯泉の勢いか?五分五分だったが、自分は飯泉のKO奪取を確信していた。

 

飯泉はデビューから観ていたが、ビルドアップした身体から放つパンチは強烈。

 

1985年、ブルース京田、マーク堀越、小森孝らを連続KOした頃の勢いは目を見張った。

 

そしてA級トーナメント決勝でも後の日本王者高木正宏をKOし優勝。

 

まさに和製カオサイの如しKOキングだった。

 

ホープ飯泉と杉谷の対決に会場は当然超満員(自分はバルコニーで観戦)。

 

1R、スタートから杉谷は良く動く。

左を突き、ステップは左右に。頭もよく振り的を絞らせない。

対する飯泉も動きは悪くない。

中盤左ストレートをヒット。やはりパワーは飯泉が上回る。

杉谷はサウスポー飯泉へ効果的に右を当てる。

 

10-9杉谷

 

2R、飯泉も丁寧に右を突いてくる。

そして左ストレートを直撃し、杉谷の腰を落とさせる。

クリンチに逃げようとする杉谷に飯泉は攻め入る。

ただここで杉谷も上手くステップを駆使し、ロングから手を出す。

お互いのパンチが入る展開だが、攻撃への意識が上回る飯泉はかなり派手に被弾。

ただマーク戦でも見せた「肉を斬らせて骨を断つ」戦法の飯泉。

左を当て杉谷の足をもつれさせる。

 

10-9飯泉

 

3R、会場の雰囲気は飯泉KO奪取に傾いていた。

杉谷はリセットすべく足と左でスタートするが、飯泉の左強打が2発杉谷を捉え、二度とものけぞらせる。

飯泉のパワーが上回るが、杉谷の左フックのタイミングが良い。

2分過ぎ、杉谷の右ストレートが入り、飯泉が効いてしまう。

一気に詰める杉谷。ニュートラルコーナーで20秒ほど連打を浴びせ、スタンディングダウンを奪う。

ファイティングポーズを取りつつもふらつく飯泉。

現在ならストップだが、内田主審は続行。

襲い掛かる杉谷の連打で飯泉は頭からダイブ。

 

即座に内田主審はKOを宣告したが、実に危険なシーンだった(3R2:57KO)

タフな飯泉をKOしたこの試合は杉谷満のベストファイトだ。

 

両者は1年後再び拳を交えるが、明白な判定で杉谷が返り討ち。

 

眼疾の為、グラブを吊るした飯泉。

 

破格の強打を持ちながら終ぞJBC王座に就くことは無かったが、引退後、9年経った1998年国内では未公認だったIBF国内王座決定戦でインドネシア選手を一閃。

 

彷徨い続けた拳に区切りをつけた。

 

若いながらも古武士のような雰囲気を醸し出していた男飯泉。

 

一ボクシングファンだった少年が鍛錬し、あの強打を身に着けた。

 

「ラストファイト」の文戦後、しきりに眼を気にする飯泉。

想い起こすと涙が出る。

 

この様なフレーズを書くとまたおっさんの過去補正と言われそうだが、あの左強打は本当に凄かった。

 

忘れられない拳豪だ。

 

飯泉健二:21勝(18KO)3敗。

※1JBC未公認試合