拙ブログ「現地観戦ベスト」の中で17位にランクさせて頂いた一戦。
1984年11月8日 後楽園ホール
日本バンタム級タイトルマッチ
今里光男VS西村貴晴
今里:18勝(9KO)7敗 23歳※王座4度防衛中
西村:9勝(4KO)3敗 23歳
奇しくも長崎県出身同士の対決。
1R、今里左ガード下げ、のらりくらりとしたリズムから左を突く。
西村も今一つ踏み込めていなかったが、ワンツー&右の打ち下ろしをヒット。
気の強い今里はワンツーを返す。
10-9今里
2R、ファーストラウンド様子見だった今里がパンチの強さを全面に出して詰めていき、右アッパーをアゴへ。
例のスタイルからの左はやはり伸びる。その左に右を被せる西村。
相変わらず今里はローガード&目で避ける防御だが、西村の攻撃をことごとく躱す。
終盤、西村このままではいけないと左を突き始める。
10-9今里
3R、西村左出すが、今里のフリッカー気味の左が上回る。
今里ワンツーから左フックをヒット、やや後退する西村。
西村今里の動く上体に対し、ボディーへ照準を合わせる。
そしてやや距離の近くなった今里へワンツーを放つ。
ようやく手ごたえのあるパンチをヒットした西村。
そして右ストレートから追い打ちの左フックをアゴへヒットからのフォローコンビで、今里からダウンを奪う。
今里スウェー躱し損ねで被弾。
気の強い今里は打ち合いに応じるが、西村の左フックを食らい大きくぐらつき、右ストレートで2度目のダウンを喫する。
立ち上がった今里へ当然連打を仕掛ける西村。この様はジムの偉大な先輩村田を思わせる攻撃。
右を打ち抜かれ、3度目のダウン寸前に陥りながらも辛くもゴング。
F原田会長の素早いリングインに感動を覚えた。
10-7西村
4R、攻撃を防御にするしか無い今里へ西村は右狙い打ち。更にキレのある左フック。
今里はノーガード&口開きだが構わずパンチ交換。
この状態で西村の正確なパンチを食らい、再三脚に来る今里。
残酷な程、両者のバランス差が出てしまう攻防に終始。
10-9西村
5R、相変わらずパンチ交換で削られて行く今里。
目立たないが西村左肩で相手を打ちやすい位置へ移動。これも村田がよくやった戦法。
そして左レバーを突き刺すと今里は崩れ落ちるようにダウン。10カウントを聞いた。
勝者西村もキャンバスに額づく感動のシーン。(2:08KO)
今里有利の予想も自分は西村の潜在能力(丸尾忠戦で覚醒)を知っていたので、西村有利を唱えていた。
この見事な試合に興奮した自分は、後楽園ホールから高田馬場の友人宅へ一目散。
試合内容を一気にまくしたてた。若かったなぁ~。
西村貴晴
一発パワーには欠けたが、ジムの先輩村田英次郎を思わせるセンスの良いボクサーだった。
剣道仕込みの距離感&攻防一体のスタイルは大いなる可能性を秘めていたが、日本王座初防衛戦で杉本光一の硬質な攻撃に破れ、あっさりとリングを去ってしまった(その後、杉本から王座を奪ったのは今里)
この若き才能を失った金子会長は、
「西村をそれこそ柔軟運動から一歩一歩育てていたのに・・・」と悔しがっていた。
自分も大好きだった西村のボクシング。
まさに「消えた村田2世」だ。
敗者今里光男も掛け値なしの名選手。磯上、高橋、マーク、島袋戦は忘れられない。
リアルブルース・リーの今里。現在も相変わらず熱い生き方をしているらしい。今里らしいな!