1980年2月28日後楽園ホール

日本ジュニアフライ級タイトルマッチ

天竜数典VS友利正(Ⅱ)

 

天竜:29勝(13KO)6敗3分 ※日本王座16度防衛中

友利:12勝(3KO)2敗

 

「小さな巨人」天竜は国内王座16度防衛中。

ハイメ・リオスとの二度の世界戦には敗れているが、国内では無敵の存在。

 

事実、3か月前の友利相手の防衛戦でも完勝していた。

 

 

1R、友利は積極的に左を突いて行く。これに対し天龍も持ち前の動きとステップは相変わらず早い。

天竜の動きからのパンチは相手からすると非常にやっかいだ。

145cmと短躯が故に筋肉量が多く、身体全体にパワーが有る。

自身の的とパンチの出どころが読みづらい動きは、ハイメ・リオスの様だ。

 

ただ中盤、友利のワンツーが天竜のガードを突き破る。友利はこの試合のテーマである積極性を出していき、ワンツーを天竜のアゴに打ち下ろす。

一瞬効くがうまくごまかすベテラン天竜。

 

友利はその後、絶妙な上下の打ち分けを見せ、上げていく。そして連打の中から左フックで天竜からダウンを奪う。

自軍コーナー前で大の字になるダウンから立ち上がった天竜へ友利は一気に仕掛ける。

 

最後は右ストレートをアゴへ直撃。天竜に10カウントを聞かせた。絶妙のポジション、アングルから放った見事なパンチだった。

やや消極的だった友利が覚醒のKO奪取。名王者天竜は試合後、引退を表明。

 

その後、友利は穂積に惜敗、同郷の伊波にも敗れたが、再度国内王座に返り咲き。

 

1982年4月、メキシコの強打者アマド・ウルスアから見事世界王座獲得。

 

正にワンチャンをものにした。

ベストファイトはこのウルスア戦だが、天竜戦で魅せた積極性がウルスア戦でも出ていた。

 

太く短かった友利の選手時代。挑戦者の立場になると良いパフォーマンスを見せる選手だった。