先日記したベストファイト。その中から数試合記してみる。
1978年4月29日WBC世界Jライト級タイトルマッチ
米国カリフォルニア州イングルウッド フォーラム
アレクシス・アルゲリョVSレイ・タム(比国)
我が敬愛するアルゲリョ。来日時に頂いたサインは家宝の一つ。
実際、目の当たりにしたアルゲリョ。
異名をとった「驚異のやせっぽち」のまま。
あのスレンダーな身体から、あれ程の強打を繰り出せるとは、人体の神秘すら覚える。
アルゲリョの最強期はいつだろう?
ジョー小泉氏は
「(少数派の)フェザー級時代」と論じている。
確かに頷ける面も有るが、その後2階級を制覇し、JW級までクラスを上げたアルゲリョ。
個人的にはライト級時代のスタイルに想い入れが有るが、やはり全盛期は無双を誇ったJL級。
このJL級時代のベストファイトのひとつレイ・タム戦を振り返る。
1R、アルゲリョはファーストラウンドに、ガードの上からパンチを受けて相手の力量をセンシングする。
ただタムは距離を感じているのか、強引に攻め入りはしない。
アルゲリョの左は硬く、伸びる。
ステップバックしての左フックの合わせもドンピシャ。
そしてこの試合のキーパンチになった右アッパーボディー。
これを見るとアルゲリョがサウスポーを不得手とする事が信じられない。
タムも左ストレートを一発胸に叩き込むが、アルゲリョの右アッパーが次々にボディーへ突き刺さる。
タム敢然と挑む姿勢を見せ、左ストレートを当てるが、アルゲリョは足さばきも良く、好調だ。
10-9アルゲリョ
2R、タムはスタートから攻めて来る。これで火が付いたアルゲリョ。
ある裏ワザを駆使した後に、左レバー二発。更に右アッパー、左フック、右と鬼コンビ。
この試合のアルゲリョのパンチは右も左も実に切れている。
中盤からはストレート主体のスタイルへ変更。ただ要所でどう猛なパンチも見せつつラウンド終了。
10-9アルゲリョ
3R、アルゲリョは常に上体にリズムを付け、攻防一体。
タムは突破口を見いだせない。
何とか入ってきたタムに強烈な右アッパーがアゴへ。ただタムはひるまず前へ出る。
信じられないタフネスぶり。
アルゲリョの右アッパーボディー、左フック。
さすがにタムは小休止。
アルゲリョも長い左で接近を防ぐ。後半タムが手数を出すが、アルゲリョが左右を迎え打つ。
そして驚くべきことにクロスレンジでのタムの攻撃を全て躱すという防御技術を披露。
10-9アルゲリョ
4R、タフなタムだが、どう考えてもアルゲリョのパンチは痛いだろう。
このラウンドも出ていくが、すぐにアルゲリョの右アッパーボディー。
勿論これで止まるタム。無理もないわ。
アルゲリョは完全にタムの動き、パンチを見切っている。相手の入り際へ左フックの合わせ。こうもドンピシャに当たるものか・・・。
アルゲリョカウンター狙いの楽な展開だが、ラスト30で右ストレートを2発当てる。この試合アッパーがドンピシャなのでこのパンチはやや少ないが、KOの予感を感じさせるパンチ。
10-9アルゲリョ
5R、スタートからパンチに意志を感じさせるアルゲリョ。
更に動きもクイックに。タムもアルゲリョのボディー狙い奮闘するが、この日のアルゲリョ相手では、火を付けてしまうだけ。
アルゲリョ攻防一体の中から、右アッパー、左フック。
そして遂にアルゲリョ戦慄の猛攻スタート。
左フック、右アッパー。
左5連打から右、左、左、右、左、右。
右ストレートでロープへ飛んだタムは戦意喪失のギブアップ。
この怒涛のフィニッシュシーン観ても
「アルゲリョはコンビのつなぎが遅い」などと宣う輩がいるのだろうか。
テレビ東京でこのシーンを観た自分は、目の前で何が起きたのか理解不能。実に速く、パワフルだった。
今のボクサーでこれ程強いパンチをつなげられる選手はいない。
エレガントなボクサーアルゲリョが突如どう猛な顔を見せた圧巻のフィニッシュシーンだった。
タムはアポロ嘉男を破るなどアルゲリョ戦まで無敗を誇ったが、その後連敗続き。吹打竜にも惜敗。
リングから消えて行った。
アレクシス・アルゲリョ:世界戦通算戦績:19勝(17KO)3敗。
世界王者経験者から通算15回の勝利を収めた男。
常に強豪王者から王座を奪いに行くことを是としたその生き様は、高く評価される。
近年のグレートと評されるメイウェザー、ロマチェンコを戦国時代の70年代へほうり込んだらどうなるだろう。
いつか記してみる。

