保護施設に来てから数日。
アレンはまだ少し怖くて、
ケージの隅で丸くなることが多かった。
人は優しい。
でも、ここがどこなのかはまだよくわからない。
そんなある日、
隣のスペースに大きな犬がやってきた。
黒と茶色の毛並み。
ピンと立った耳。
それは
ジャーマン・シェパードだった。
体はとても大きい。
アレンの2倍以上ある。
アレンは少し怖くて、
思わず後ろに下がった。
するとそのシェパードは、
ゆっくり近づいてきて…
「大丈夫だよ」
と言うみたいに、
静かに尻尾を振った。
その日から、
アレンの毎日は少し変わった。
朝になると、
シェパードが先に起きて
「おはよう」
と言うように
柵の向こうからアレンを見る。
アレンも少しずつ慣れてきて、
小さく尻尾を振るようになった。
散歩の時間になると、
二匹は同じ庭に出される。
最初は距離があったけど
ある日、シェパードがボールをくわえて
アレンの前にポトンと落とした。
「一緒に遊ぼう」
その瞬間、
アレンは久しぶりに走った。
全力で。
庭を。
風を切るように。
その日から二匹は
施設の中で一番の友達になった。
大きくて頼もしい
アレンの初めての友達。
でもアレンはまだ知らない。
この友達との時間が
ずっと続くわけではないことを…。
