古代エジプトの神々の姿や形、色、身に着けている品々には、非常に深い意味が込められていると私は考えています。それらは宇宙の真理や摂理を表現しているのではないでしょうか。

 

 

前回は、冥界の女神イシスの両手を広げた翼が、夏の星座であるはくちょう座と共鳴しているのではないかと考察しました。今回は、この両手をいるのではないかと考えています。

 

アンクはほとんどの神々やファラオが右手に持つ象徴であり、イシスを表すものとも考えられています。アンクは「生命」「生きること」を意味し、死者に新しい命を与える「生命の鍵」とされました。現世(此岸)から来世(彼岸)へ渡るための鍵であり、復活を保証する護符でもあります。形状は「T字=男性原理」と「輪=女性原理」の結合を示すとする学説もあります。

 

 

私は、イシスが両手を水平に広げた姿と頭部の円(玉、〇)によって、アンクの形を表現しているのではないかと考えています。この形は、日本の三内丸山遺跡の板状土偶と非常に類似しています。板状土偶には十字の形が多く見られ、頭部と十字を合わせることでアンクの形となります。

 

 

 

三内丸山遺跡の板状土偶は、日暈(ひがさ)に見られる太陽十字から生まれたものだと思われます。はくちょう座の十字と太陽十字の類似から、古代の人々は十字を「再生・復活・変容」の形と捉えていたのでしょう。

 

 

さらに、冬の星座であるオリオン座の「✖(冥界)」から「十(現世)」へ移行するための象徴として、アンクの形が用いられ、イシスの両手を水平に広げた姿に表現されたのではないかと考えられます。

 

 

 

※ イシスの画像はウィキペディアからお借りしました。