日本の火焔土器は、炎を表しているということでこの名称がつけられましたが、
近年では水の流れや波を表現していると考える研究者も増えています。
象意の解釈は人それぞれであり、観察する角度や方法によっても異なります。
古代人もまた、時代や地域によって多様な考えを持っていたと思われます。
火焔土器の形式は、突然完成したものではなく、
長い年月の中で変化しながら形づくられたものだと私は考えています。
縄文時代前期の深鉢型土器には、すでに四隅が尖ったり盛り上がったりする形が見られます。
これは太陽の光輪(日がさ、ハロ)に輝く四隅の光や尖った形を模したものと捉えています。
火焔土器を真上から見ると、八方向に小さな空洞が等間隔に配置されています。
これは46度ハロ、あるいは八咫鏡や仏教の法輪の形を表現したものだと考えます。
日がさは太陽の光・熱・水を象徴し、これら三要素は生命の存続に不可欠なものです。
火焔土器はそれらを総合的に表現したものだと思われます。
口縁部のギザギザした波や炎のような形、
四隅に等間隔で立ち上がる波・炎の造形は、どのような流れで生まれたのでしょうか。
私は、毘沙門天・持国天などの頭部背後に表現された「火焔の法輪」が、
この火焔土器と共鳴していると考えています。
私はこの火焔土器が、水・火・光・風といった宇宙の根本的な象徴を表現したものだと捉えています。
これらの象徴が欠けることは、生命の存続に重大な障害をもたらします。
古代インドのシヴァ神は破壊と再生の強烈な神ですが、
根本的には火・水・風・雷などの自然力を併せ持つ神です。
シヴァ神はナタラージャの炎の輪、第三の目から放たれる炎、
そして髪から流れるガンジス川の水を象徴します。
トリシューラやダマル(太鼓)は雷を表し、
シヴァは風と嵐の神ルドラの性質をも備えています。
シヴァ神
シヴァ神は火焔土器がつくられた時代より新しい時代の神ですが、
創造神としての宇宙の根本的象徴を備えています。
このような解釈をする研究者は現在ほとんどいませんが、
私は火焔土器が生命の存続に必要な元素――水・火・光・熱 ・風など――を
器の造形として表現したものだと考えています。






