神楽鈴
巫女が手に掲げる神楽鈴は、
古代の巫女たちが神を迎えるために鳴らした「光の音」の名残であるように思われます。
その響きは、太古のシャーマンが身体を揺らし、
境界を開くために振り鳴らした神具の記憶を今に伝えています。
シストラム
古代エジプトでは、ハトホルがシストラムを手にした姿が
幾度も壁画に刻まれました。
ハトホルとは「ホルスの館」、
太陽神を宿す母なる空間であり、
死者を迎え、再び光へと導く女神でした。
その音は、冥界と現世の境界を震わせ、
魂を再生へと送り返すための響きでした。
イシスと同じく、世界の秩序を音と舞によって整える力を持つ存在でした。
私は、シストラムの文化が遠い時代を越えて
日本の神楽鈴へと響き渡った可能性を感じています。
世界のシャーマンが用いた神具の多くは「叩く音」でしたが、
シストラムと神楽鈴は「振って音を生む」という稀少な系譜に属します。
しかもその形は、どちらも三段としてと重なり合う構造を持ち、
まるで音の階梯が天へと伸びていくかのようです。
これはオリオン座の三ツ星、小三ツ星の「3」と捉え
再生復活の中心と響き合います。
ハトホルやイシスが赤い衣をまとい、
日本の巫女もまた赤を身にまとうことは、
二つの文化が遠く離れながらも
同じ「境界を開く色」を選び取った証のように思われます。
こうした象徴の重なりを辿るとき、
シストラムの響きが、
神楽鈴の音の奥にひそやかに息づいている可能性は
決して小さくないと感じられます。
※ 左上の写真はNazmy.K.Azizさんからお借りしました。




