秋田県の伊勢堂岱遺跡の展示室には「大皿」がありますが、この大皿に注目する人は多くありません。 私は、この大皿の裏側の縁に、三角縁神獣鏡の三角縁に非常によく似た紋様が刻まれていることに気付きました。

 

 

 

 

三角縁神獣鏡は日本独自の文様を持つ鏡であり、その三角縁がどのような過程で成立したのか、明確な見解はまだありません。 銅鏡はひび割れやゆがみが生じやすいため、補強のために三角縁が採用されたという説もあります。しかし、中国で出土する銅鏡にはこの三角縁紋様が見られないため、非常に興味深い点です。

 

 

 

私は、三角縁のある皿形土器を調べましたが、その数は多くありません。 東北の青森県・八戸市の是川中居遺跡の皿形土器(左下の写真)にも同様の文様があり、また東京国立博物館に所蔵される二点の皿形土器にも確認できました。 いずれも北東北の縄文晩期の者です。

 

 

またこれらの皿形土器の裏側は同心円の形態である銅鏡の同心円文様と非常に共通性があり渦巻文様も表現されています。皿か鏡の違いではありますが基本的な文様の構図はとても共鳴していると思われます。

 

銅鏡製作の際、三角縁は亀裂やゆがみを防ぐ機能を持つ可能性がありますが、それ以前に縄文時代から続く「三角形の連続紋様」が古代の人々にとって重要な象徴であったと考えられます。 北東北の皿形土器に刻まれた三角縁紋様は、三角縁神獣鏡の文様体系の源流の一つである可能性すら示唆されます。

 

※ 皿形土器文化遺産オンライン