ロータス杖を持つイシス

 

 

古代エジプトと古代日本の習俗・文化には、深層において共通する象徴構造が存在すると私は感じています。 古代エジプトのイシスは再生と豊穣の女神であり、魔術師としてファラオ(王)を再生へ導く冥界の女神として描かれます。冥界の王オシリスも、イシスによって復活しました。

 

 

イシスは赤いハチマキ(ティエト)と赤い衣装をまとい、杖を持つ姿で表現されます。 一方、日本の伊勢神宮を創建した倭姫は天照大神の「御杖代(おつえしろ)」と呼ばれますが、この称号は古事記・日本書紀の中でも彼女だけに用いられる特別な名称です。また赤い衣装で表現されることが多く赤は再生復活の色でもあります。古代エジプトでは神々が杖を持つことが一般的であり、イシスもワス杖やロータス杖を携えています。

 

 

倭姫

 

一般にはワス杖は動物の頭部を象った形とされますが、私はこれをオリオン座の三ツ星と小三ツ星を象徴化したものと捉えています。オリオン座は冥界の再生・復活の象徴であり、その中心部である三ツ星と小三ツ星は特に重要です。また、イシスはワス杖(下中央)やロータス杖を持つことが多いのですがロータス杖は、日本の八咫鏡の象徴性と共鳴しているように思われます。

 

 

ワス杖を持ったイシス

 

 

オリオン座の三ツ星・小三ツ星(ワス杖)

 

倭姫の「倭」という字は古代中国で付けられた外名ですが、字を分解すると「イ」+「禾」+「女」となります。「イ」はワス杖の形に似ており、「禾」は稲・米を表し、「女」は女性を示します。これらを総合すると、「ワス杖を持つ豊穣の女性」という象徴的意味が浮かび上がります。これはまさにイシスの豊穣性とワス杖の印象に重なります。

 

伊勢神宮は天照大神を祀り、外宮では豊受大御神を祀ります。豊受御大神は食物、特に米を象徴する神です。 こうした象徴の重なりから、古代日本の人々が古代エジプトの文化・習俗を取り入れ、倭姫の象徴性に反映させた可能性があると考えられます。