松本市考古博物館にある顔・頭部の土偶は、現代の感覚では理解しにくい独特な形をしています。
口の両脇には遮光器土偶の目の形に似た文様があり、私はこれを胎児が生まれたばかりの閉じた目の表現と捉えています。
また、この形は女性器や母体のお腹の正中線を象徴しているとも考えられます。
口の「Ⅽ」形や頭部の結髪の「Ⅽ」形は、しっぽの付いた胎児の形を表しているように見えます。
私はこの文様を「C形湾曲文」と名付けましたが、この形に注目している研究者はほとんどいません。
側頭部に空いた穴は、香炉式土器に見られる構造であり、フクロウの目を表すと同時に、縄文人が「穴から生命が生まれ出る」と感じていたことを示していると思われます。
縄文時代は衛生上や環境で母胎や胎児の死亡率が高かった時代です。
そのため、この土偶には安産・母胎・胎児の健康を祈願する願いが込められていると考えられます。




