青森県には、他の地域に比べて「しゃがんだ姿勢の土偶」が多く出土しています。これらは縄文後期から晩期にかけて作られたもので、是川遺跡の合掌土偶が代表的です。これらの土偶には共通する特徴的な文様があり、アルファベットの「C」の字に似た形をしています。私はこの形を説明しやすくするために 「C形湾曲文」 と名付けたいと考えています。

 

 

 

 

 

このC形湾曲文は、遮光器土偶の握った手指や胸部、頭部の結髪にも多数表現され、国宝・中空土偶の股間にも見られます。また青森県内の他の遺跡から出土したしゃがみ土偶や土板にも同じ形が描かれています。しかし、この文様はほとんど注目されておらず、縄文後期〜晩期の北東北・北海道で広く共有された造形である可能性があります。

 

 

 

私はこのC形湾曲文を 胎児の姿勢を象徴した文様 と捉えています。胎児の丸まった形、あるいは屈葬の姿勢と深く響き合うためです。そして、この形に過去に強く注目した人物がいると考えています。それが青森県出身の世界的版画家 棟方志功 です。

 

 

 

棟方志功の版画作品には、女性の身体全体にC形湾曲文が描かれているものがあり、彼自身も胎児的な生命感を強く意識していたと考えられます。同じ青森県の出身であることから、縄文人の造形感覚や象徴意識が文化的に受け継がれ、彼の作品に反映された可能性も感じられます。