大皿
大皿
伊勢堂岱遺跡から出土した円形の大皿は、縄文時代としてはきわめて珍しい形態であり、その精巧な造形には高度な技術がうかがえます。特に裏面に刻まれた文様は象徴的意味を強く帯びており、単なる器物以上の価値を持つと考えられます。
大皿の裏面には、中心の●と横棒━によって ●━の形 が表現されています。この形は前方後円墳の構造を想起させると同時に、太陽ハロの中心円と水平光(十字光)の象徴とも読み取れます。そして気温が低い時に見られる太陽ピラーとも受け取られます。また、中心点と水平線の組み合わせは、古代において霊魂・神霊の象徴として広く用いられた図像とも共鳴します。
日がさ
太陽ピラー
さらに縁部には「C」字形の連続文様が施されており、これは縄文人が頻繁に表現した 胎児意匠 と深く関係していると考えられます。加えて、三角縁神獣鏡に見られる △▽ の連続文様に類似した図形も確認でき、渦巻文様も併置されています。これらの要素が一体となった大皿の全体構造は、妊娠した母体の膨らみを思わせ、再生・復活・変容 といった象徴的テーマを強く示唆します。
大皿
「Ⅽ」形の紋様
もしかすると三角縁神獣鏡の三角縁紋様が伊勢堂岱遺跡の大皿に原形があるのかもしれません。
三角縁の紋様
またこの円形の大皿自体が胎盤をあらわし「C」の形状が胎児とも受け取られます。
「Ⅽ」の形象は中空土偶の股間や遮光器土偶にも多く表現されています。縄文後期はこのⅭの形はとても重要視された形象であると私は捉えています。
中空土偶の股間の「C」紋様
遮光器土偶の「C」紋様
このような複合的で高度な象徴体系を備えた大皿は、単なる日常器ではなく、儀礼・祭祀において特別な役割を担った可能性があります。文様構造の精巧さからみても、伊勢堂岱大皿は縄文時代の象徴表現の中でも際立った価値を持つ土器であり、三角縁神獣鏡の原像として位置づけられる可能性すら考えられます。









